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『シェフと素顔と、おいしい時間』(2ページ目)

8月30日(土)~公開。パリの空港25時。恋人から逃げる女と恋人を追いかける男が出会った。仕事は順調だが、なぜか最良のパートナーにめぐり会えない男女が…。

執筆者:南 樹里

俳優たちの個性的演技には酔わされる。ことにビノシュが素顔になるシーンは圧巻だ。フランス映画らしく元シェフがこだわる料理談義にも薀蓄(うんちく)が傾けられる。夜中にフェリックスがホテルの厨房でステーキを焼くシーンでは、空腹にはこたえるに違いない。
シェフと素顔と、おいしい時間
《空港のシーン》は、建築家ポール・アンドレウが設計したターミナルFを使用したいという監督の希望を叶えるため、あちこちに依頼してやっと撮影期間25日間の許可がおりた。ところが9・11事件が発生し許可は白紙となってしまったそうだ。改めて依頼したが、答えは「ノー」。そこでルールド国際空港で撮影しようか?となったときに5日間だけ許可がおりたので大急ぎで撮影した。実際には、監督が粘って交渉をしもう5日の延長許可がでたそうだ。まさに監督の執念が実ってド・ゴール空港での撮影が実現した。大群衆がごった返す大空港の迫力は、セットでは再現不可能だっただろう。
シェフと素顔と、おいしい時間
《エリック・セラ》に対してダニエル・トンプソン監督は、これまでとは違った音楽を要求したそうだ。エリック・セラも監督も少しばかり不安を抱いていたが、繊細であり、かつダイナミックにという見事に期待に応えたものが出来上がったという。《練り上げた脚本》だけに撮影中に現場で変更することはなかったという。「どの単語でもわたしにとっては意図があるのです。まるで音楽のようなものです。」と監督が語っている言葉からも分かる。その分、撮影前のリハーサルには、長い時間をかけ、俳優からもディテールを確認したがった。また演出は強引にならないよう心がけたという。▼キャストローズ:ジュリエット・ビノシュフェリックス:ジャン・レノセルジオ:セルジ・ロペス医師:スカリ・デルペイラフランス航空フライトアテンダント:カリーヌ・ベリーフェリックスの父:ラウル・ビルレイ▼スタッフ監督・脚本:ダニエル・トンプソン脚本:クリストファー・トンプソン▼南の試写コメすっごーく落ち込んでいた日に観た試写でした。物語の主人公達もどん底状態。妙に心境的にマッチしていて、自然に笑え、なぜか涙がこみあげてきたり、南的には今年のベスト入りしそうです。フランス映画というと暗いイメージをお持ちの方にも気軽に?楽しめる作品だと思えるのでオススメします。ジャン・レノとジュリエット・ビノッシュのために書かれた脚本だけあって、バッチリ!ちなみにオリジナル版は、上映時間が1時間33分らしい。そちらも是非、観たいのでDVD化されることを願いつつ…。[2003年7月24日 日本ヘラルド試写室]

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