エアライン的
先生:それはもう都市型刹那系ですから。
この楽曲は、PVと共に分析しないとダメですね。やはり、「ポリリズム」というのが下地にありますね。ある意味、Underworldっぽい音になっているところもありますが、「ポリリズム」自体もそうでしたしね。
博士:
視点が終始カメラから外れていますね。動きもわざとキッチュな感じで・・・これが何かマネキン的な感じがしますね。「チョコレイトディスコ」同様、鏡を上手く使い、きわめて少ない要素でかっこよく仕上げています。 やはりどこかエアライン的な客室乗務員的な雰囲気がこの手のオシャレではステレオタイプになっているんですね。今回、特にエアライン的な装丁は無いのですが、壁面の青のストライプのモチーフ等、なんとなくそんな感じが伝わります。パンナムに乗ったらロゴ入りのバックをくれた頃のコンプレックスなんでしょうか。
先生:
エアライン的というのは僕も同意します。エアラインデザインというのは、一つの完成された商業アートですからね。古くはピチカート・ファイヴ、そしてcapsuleやMEGちゃんもエアライン的なモチーフは使っていますし。エアライン的と同時にメンソール的でもありますね。
博士:
無機的なコマ録りアニメーションがオーバーラップするかわいらしい映像ですが、人形振りの本人の動きに人間臭いブレが見え隠れします。 倍速撮影とかかコマ落とし撮影とかで動きの精度をやや落とすと良かった様にも思いますね。
トリックアート
先生:やはり、眼が釘付けになるのは、平田香織ちゃんの手のひらで回る水玉のサークルですね。これは通称ポリポーズ。
博士:
そこに眼が行きましたか。大きく足を踏み込むステップもなんとなく「ポリリズム」を思わせます。第一印象としては、まずオシャレを全面に出したオーソドックスな渋谷系だなぁと言う点とサウンド的にはELTの亜流で数多く登場したギター&ヴォーカルユニットで良くある打ち込み系だなぁとい感じでした。
しかし、実は、ご指摘されるまでは「ポリリズム」との類似は当初はあまり気になりませんでした。これは「ポリリズム」をどの方向から認識しているかという方向性の違いから来るギャップではないでしょうか?。
かしゆかを“柔ちゃん”という方向から見るか”小西真奈美”と言う方向から見るか・・のような。
先生:
なるほど、かしゆかはトリックアート(だまし絵)であると。
博士:
「ポリリズム」のあの青くてクールな画面を、先生は“スタイリッシュ”と捉えたとすれば、非常に共通した世界観を感じますね。ところが私の場合、「ポリリズム」を見て真っ先に連想したのがABWH(YES)の「I'm Alive」という曲のPVだったんです。あえてつたなく合成した、美しい言うよりちょっとグロテスクな感じのする狙った感じのPVで、飛び出すイルカのイメージや道具や乗り物が切り張りっぽく合成されるイメージ、くるくる回って何か飛び出すイメージに共通点を感じます。おそらく当初からこのイメージと直結してしまったので「スタイリッシュスター」の映像との共通点に気が付きにくくなっていたのでしょう。