テクノポップ/海外のテクノポップ

帰ってきたt.A.T.u.~一度暴落した株は上がるのか?(3ページ目)

新作『Dangerous And Moving』で帰ってきたt.A.T.u.・・・激動の2003年の後、スーパー一発屋として終わるのか? それともこの新作で浮上をするのか? クレジットから見る、力の入れ具合を検証。

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

Dangerous And Moving

Dangerous And Moving(US盤)
Dangerous And Moving(日本盤)
やはり、日本はタトゥーにとっては重要マーケットと考えられるのか、『Dangerous And Moving』は、欧米よりも約1週間早い10月5日にリリース。日本盤はデビュー・アルバムと同じ手法でジャケが変えられています。発売初日(フラゲ)にはめでたくチャート・インを果たし、6位です。では、トラック順に聴いていきましょう。

01. Dangerous And Moving (Intro)
12曲目の序章ですね。

02. All About Us
デビュー・アルバムではクレジットがない4人によるものですが、タトゥーに歌わせるために作ったとしか思えないドラマチックな展開のハマリ曲。中の一人、ビリー・スタインバーグ(Billy Steinberg)は、マドンナの「Like A Virgin」をかいた人。PVについてもタトゥーのヒットの公式というのに従った、放映禁止を狙ったかはわかりませんが、アメリカン・ヴァイオレンス映画調仕立て。

All About Us(日本盤)
日本でもワン・コイン(500円)先行シングルとなった曲ですが、インストとの2曲だけ。
01. All About Us (Single Version)
02. All About Us (Instrumental Version)


All About Us(UK盤)
シングルを買うのなら、5曲入りのイギリス盤がお勧めです。日本は後ほどリミックスをアルバムに再編集して出すつもりなんでしょうかね。
01. All About Us (Single Version)
02. Divine (Non-LP Long Version)
03. All About Us (The Aude Vocal Edit)
04. All About Us (Stephane K Radio Mix)
05. All About Us (Edited Version/Closed Captioned)


03. Cosmos (Outer Space)
さて、この曲で驚くことなかれ、干されてしまっていたガロヤンとポリエンコがクレジットされています。ガロヤン君はタトゥーの初期ヒット曲を手がけた宅録作曲家。やはり、ガロヤン君はタトゥーとの相性にはマジックがあって、大正解。
⇒ガロヤン君については、t.A.T.u.サウンドの謎でさらに解説。

04. Loves Me Not
これもタトゥーらしい、ちょうど「30 Minutes」のようなバラードから盛り上がる展開の曲。

05. Friend Or Foe
これはなかなかの出来だと思ったら、元ユーリズミックスのデイヴ・スチュワートが曲作りと元ポリスのスティングがベースで参加しています。今回のアルバム、InterscopeでのタトゥーのA&R代表で、デイヴとこの曲を共作したマーティン・キールセンバウム(Martin Kierszenbaum)がサウンド的にはキー・マンとなっているのではないでしょうか? ボーナスを除いて彼が参加していない曲は、2曲だけ。スティング(タトゥーのアルバムがとても気に入っていたらしい)もマーティンと旧知の仲のようです。

06. Gomenasai
日本に対しての謝罪ソングであるとの憶測も飛びましたが、歌詞を見る限り断定はできません。これは、前述のマーティンが一人で作った曲ですが、元カーペンターズのリチャード・カーペンターのストリング・アレンジも含めて、ある意味“仕掛け”が入ったと見るのは考えすぎだろうか?

07. Craving (I Only Want What I Can't Have)
トレヴァー・ホーン先生がプロデュースした意外と地味な、しかしながらイギリスっぽさも感じるプロデューサー仕事。

08. Sacrifice
ガロヤン君とマーティンとの共作ですが、私的妄想では、ガロヤン君が最初に作って、マーティンが仕上げたのではないだろうか。この二人のコンビネーションも悪くない。

09. We Shout
シャウトと言いながら、バラードです。ちょっとお家芸すぎるかも。

10. Perfect Enemy
面白い事に、FoeやEnemyといった敵対的な言葉が使われる事が多いタトゥー。

11. Obezyanka Nol
「Monkey Zero」が英題のようですが、これがボーナスを除くと唯一のロシア語曲。

12. Dangerous And Moving
このタイトル曲、マーティン、ポリエンコたちと並んで、あのイワン・シャポヴァーロフの名前がクレジットされています。Wikipedia-t.A.T.u.(何故か、僕の名前がある・・・)によれば、イワンは既に解雇されて、ボリス・レンスキーがエグゼクティヴ・プロデューサーとクレジットされ、実権を握っているようです。と言う事は、この曲の作成後に解雇されたのでしょうか?

こちらも「All About Us」と同じく、初回限定盤のDVDにPVが収録されています。こちらはソフトコアなフェティッシュな作風です。現在、t.A.T.u. Remix Contestでは、「Dangerous And Moving」のリミックスを募集中。

13. Vsya Moya Lubov
英題は「All My Love」。ちょっと打ち込みが目立ちすぎな気もするが、逆にロシア受けする作風なのだろうか?

14. Lyudi Invalidi
英題は「Invalid People」ですが、「Dangerous And Moving」のロシア語ヴァージョンです。ポリエンコとシャポヴァーロフしかクレジットされていないので、原曲はこの二人による事が確認できます。

15. Divine
「Divine」と歌うところが、Frankie Goes To Hollywoodの「Relax」を思わせる(笑)、ちょっとトランス風のダンス・ナンバー。

さて、このアルバムですが、僕は“買い”です。ジュリアとレナにとっては2年のブランク、タトゥーの二人ガロヤンとポリエンコの復帰、マーティンのサウンド・メイキング、そして豪華ゲストは、浮上の兆しが感じられます。

10月10日にはタトゥーの二人は来日します。TBSの歌番組「うたばん」に出演も予定されていますが、万が一に備え、録画というのがタトゥーらしいですが・・・

【関連リンク】
ロシアのt.A.T.u.(タトゥー)
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