テクノポップ/アーティストインタヴュー

SL@yRe&The Feminine Stoolξ

神経内科医とコンピューター・プログラマーからなる、ブロードバンド・コラージュ・デュオが繰り広げる繊細かつ骨太なエレクトロニカ・サウンド。

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

Cornelisリミックス

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――はじめまして。先ずはお二人がユニットを作ったきっかけから教えてください。お二人ともそれぞれの名義で、Corneliusの『PM』(2003年)にリミックス作が収録されていますが、応募された理由は?

坂本(以下S):単純に、好きなCorneliusがリミックスを募集していることを知ったからです。ちょうどコンピュータを使って曲を作り始めた頃だったんですが、当時やっていたユニット(ギター、ベース、キーボード)のライブのための仕込みばかりの日々でいろいろと消耗していて、自分一人で曲を作りたくなっていたこともあって「頑張ってみっかな」と思って応募しました。

Kawatory(以下K):応募した理由は、「Cornelius本人が自分の作ったものを聴いてくれるかも知れない!」ということにエキサイトしたからです。加熱しすぎて応募リミックス作品に抱き合わせて自作の曲をたんまり同封したことを記憶しています。まさか選ばれるとは。『PM』に収録された作品を聴いてお互い興味をもったので一緒になんかつくってみようという運びになりました。

S:KawatoryのKawatolius Remixを聞いた時、「曲の構成が今まで聞いたことがないもの」だと即座に思いました。シームレスな展開、独特な音感にコントロールされたミニマリズム、そして恐らくコンピュータですべて構築されている音楽でありながら、スポンテニアスなムードもあり、機械仕掛けの音楽ではあまり感じることがないリアリティを感じました。これはなかなか言葉では表しにくいのですが、その「リアリティー」とは、音楽がリアルであるということだけでなく、作っている過程や作っている人のキャラクターも含めた感覚です。それまでも、誰かとコラボレートすることはバンドやユニットでかなり経験していましたが、コンピュータで作曲する機会が増えて、「これならファイル交換で曲が作れる」と思っていた矢先に、Kawatoryに出会い、一緒にやってみたいと思ったのがきっかけです。

K:坂本さんの繊細でかつ端正な楽曲構成と音色選球眼と、Kawatoryの捩れ加減と執拗で奇怪なエディット、これらが混在したら得体の知れないものが生まれるなと思いました。はじめは気軽な気持ちでしたが、SL@yReとしてトラックを仕上げるたびにこのデュオに潜在的に備わっている見えない客観性のようなものがあることを感じ始めました。また、坂本さんの引き出しの多さや和音の構築力は最初に『PM』での作品を聴いた時から感服しっぱなしです。

S&K:何だかお互い褒め合ってて気持ち悪いねぇ。
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