テクノポップ/海外のテクノポップ

プロデューサー列伝(D・モーション編)~Part 1 ふたりのイエスタディ(3ページ目)

デヴィッド・モーション・・・多くのカヴァーを生んだストロベリー・スウィッチブレイドの「ふたりのイエスタディ」は、彼の代表作。そして、Chara、遊佐未森なども手がけた日本人アーティストのお気に入り。

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

他にも以下の海外アーティストがカヴァーしています。

■Mini Pops
アルバム『Wanna Have Fun』(1985年)に収録。ミニ、つまりガキンチョというかアメリカの子供たちの企画ものです。アルバム・タイトルから想像できるようにシンディ・ローパーの「Girls Wanna Have Fun」もカヴァーしていますが、「ラジオスターの悲劇」など様々なカヴァーに挑戦。

■Current 93
Current 93は、元サイキックTVのデヴィッド・チベット(David Tibet)が中心の実験系インダストリアル。アルバム『Swatiskas For Goddy』(1986年)収録のアコースティックなゆるゆるカヴァー。

■Revolver
シュゲイザー系のバンド、Revolverによる編集アルバム『Baby's Angry』(1992年)に収録の唯一のカヴァー。

■Wussum*Paw!
オムニバス『Little Darla Has A Treat For You Volume 11』(1999年)に収録のガール・ヴォーカルのギターポップ・カヴァー。バンドについては不明。

■Boyracer
アルバム『Girlracer』(2003年)に収録の脱力系パンク・カヴァー。これがどうやら最新カヴァー。

ストロベリー・スウィッチブレイドと並ぶ、デヴィッド・モーションのプロデューサーとしての力量が発揮されるのが、「ヘイヘイホー」のレッド・ボックス(Red Box)のアルバム『The Circle And The Square(フォー・アメリカ)』(1987年)。ロンドン出身のサイモン・クラークとジュリアン・クローズの二人(もともとは5人でスタート)は、Cherry Redからシングル『Chenko』(1983年)でデビューし、WEAからメジャーをデビュー。「Lean On Me」は、全英3位と「ふたりのイエスタディ」以上のチャート・アクション。80年中期と言えば、ポップ・ミュージックにおけるエスニックな方向性が模索された時期ですが、レッド・ボックスはその中でもエレポップに乗せて日本の民謡(「与作」とか)にも通じるネイティヴ・アメリカン(インディアン)調の歌いまわしをする切り口がユニークでした。とにかく、これは心の琴線に触れる名アルバム、ぜひ聴いてください。

しかし、バンドはジュリアン・クローズが抜け、アラステア・ガヴィンと、セカンド・アルバム『Motive』(1990年)をリリースするものの、ほとんどプロモーションされずに、完全に泣かず飛ばず。このセカンドでも、スピード感溢れるシングル曲「Train」を含めデヴィッド・モーションがプロデュース及び作曲で関わっています。ただ、ファーストで全開していたエスニック性は薄くなってちょっと物足りないのも事実です。
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