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(5)「ブルースエット」(2ページ目)

芋づる式CDレビュー「ジャズ名盤千夜一夜」。第5回はカーティス・フラー「ブルースエット」。名盤中の名盤の立役者はハードバップの立役者、ベニー・ゴルソン。

執筆者:鳥居 直介

希代のソングメーカーにしてアレンジャー、ベニー・ゴルソン

収録曲のなかでももっとも知名度の高い曲は、「ファイブ・スポット・アフター・ダーク」だろう。村上春樹の小説「アフターダーク」に登場するジャズトロンボーン奏者を志す青年の人生を変えた演奏である。12小節のマイナーブルース形式だが、何ともいえない味わい深いテーマから、熱く歌い上げるフラーのソロは切れ味抜群だ。

個人的に好みなのは4曲目「マイナーバンプ」。正確にはモード曲ではないが、雰囲気的にはモードっぽさをかもし出している。第3回で紹介した「A LOVE SUPREME」のベース、ジミー・ギャリソンの奏でるライン、リズムが感じさせる何ともいえないモコモコ感がそう思わせるのだろうか。

この2曲がベニー・ゴルソンの作曲。ベニー・ゴルソンといえば、アート・ブレーキーとともにジャズ・メッセンジャーズ初期の重要メンバーで、メッセンジャーズサウンドの中核をなす作曲・編曲を行った人物だ。おそらく、本作においても、アレンジの要役を務めたのはゴルソンだろう。

村上春樹にインスピレーションを与えたように、ゴルソンの作編曲には文学的な趣がある。何度聞いても飽きが来ない理由は、そのあたりにありそうだ。
『ブルースエット』アルバムデータ
●曲目
1. ファイブ・スポット・アフター・ダーク
2. アンディサイデッド
3. ブルースエット
4. マイナー・バンプ
5. ラヴ・ユア・スペル・イズ・エヴリホエア
6. 12インチ
●パーソネル
カーティス・フラー(tb)
ベニー・ゴルソン(ts)
トミー・フラナガン(p)
ジミー・ギャリソン(b)
アル・ヘアウッド(ds)


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