世界で最初のジャズの録音は1917年とされています。それからかれこれ100年近く、ジャズという音楽は進化・多様化を続けてきました。そして今、私たちは古今東西の「ジャズ」CDを手軽に手に入れることができる時代にいます。

ですから、初めてジャズを聴く人から「ジャズを聴いてみたいんだけど、お勧めは?」なんて漠然と聞かれると、本当に困ってしまうわけです。「"ジャズ"って言ってもいろいろあるんだよ。例えばね・・・」なんて講釈を始めたら、ジャズファンになってもらうせっかくの機会を逃してしまうかもしれない。かといって適当に紹介してまったく趣味に合わなかった、というのも怖い。

ということで、このシリーズでは毎回数枚ずつ、いろんなタイプの人に合った「ジャズ」CDをご紹介したいと思います。クラシック、ポップス、ロック・・・といった他ジャンルのファンにお勧めの一枚から、激しいものが好みの人、変わったのが好みの人向け、と毎回違った趣味志向のセレクトをしたいと思います。あなたのための一枚を見つけてください。

amazon.co.jpにあるCDは、ジャケ写にリンクしています。

モダンジャズ定番中の定番

Moanin'
Art Blakey & The Jazz Messengers『Moanin'』
モダンジャズ定番中の定番。「2.Moanin'」はもちろん、「6.Blues March」でほとばしるアート・ブレイキーのドラムロールが聴き所。
第1回は「これぞジャズ!」。「ふだん音楽とか聴かないんだけど」とか「とりあえず定番から聴きたい」という人にお勧めです。

Art Blakey & The Jazz Messengers『Moanin'』。表題曲の「Moanin'」は、音楽にあまり関心のない方でも、どこかで聴いたことがあるのではないでしょうか? 今でも居酒屋やバーなど、ジャズが流れているところでは高い頻度で登場するモダンジャズ史上指折りのヒットナンバーです。

ジャズは即興演奏が持ち味の音楽ですが、この曲のように印象的なメロディを持つ曲も少なくはありません。初心者にはこれくらい印象的なテーマを扱った演奏のほうが聴きやすいと思いますし、表題曲以外の演奏も名演ばかり。超定番、持っていて損はない一枚です。

さてこの「Moanin'」はジャズの中でも「ハードバップ」というジャンルの代表的な名演と言われています。では「ハードバップ」とは何なのか? Moanin'を例にとって解説してみましょう。

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