DTM・デジタルレコーディング/DAWソフト活用ノウハウ

非常にマニアックなソフトシンセ、Z3TA+(2ページ目)

Cakewalkからユニークなソフトシンセ、Z3TA+(ゼータ)が発売されました。見た目はシンプルながら、オシレータを自在に組み合わせられるなど非常にマニアックな構造になっています。

藤本 健

執筆者:藤本 健

DTM・デジタルレコーディングガイド

ウェーブ・シェイパーを搭載した6つのオシレーターを装備


ウェーブ・シェイパー
オシレータの波形を自由に変形可能なツール、ウェーブ・シェイパー
前述したとおり、Z3TA+はバーチャル・アナログ・シンセサイザですが、シンセサイザの構造を考える上で、まず最初にチェックしておくべきなのが、オシレータでしょう。見た目がシンプルなソフトなだけに、画面からはそのすごさが想像できないのが残念なところですが、これがとんでもないほどの威力を持ったオシレータなのです。

まずオシレータの数は6つで、最大同時発音数は64。それぞれのオシレータでサイン波、ノコギリ波、矩形波といったものが出せるのは当たり前として、ピアノ音やギター音といったPCM波形まで用意されており、その数は60種類となります。さらに6種類のユーザー波形も利用可能です。

すべて32ビットのウェーブテーブル合成で波形が作り出せ、3レベルのレンダー・モード(DRAFT、HIGH QUALITY、NORMAL QUALITY) も装備しています。

しかし、ユニークなのは、すべてのオシレータにウェーブ・シェイパーというものを備えていることです。ウェーブ・シェイパーというのは、これら60+6種類の波形そのものを自在に変形できてしまうのです。その変形も14のアルゴリズム(WARP、TWIST、MULTIPOINT、SYMMETRY、DRIVE、WAVE、OFFSET、SHRINK、SELFSYNC、BIT REDUCTION、HIPASS、LOWPASS、DC-OFFSET、WINDOW)が用意されていて、それを利用することでリアルタイムに変形できるのが面白いところです。

実際に音を聴いてみると、ダイナミックに音が変化することが確認できます。


6つのオシレータの組み合わせは無限大!?


さらにそのオシレータを自在に組み合わせることができるのもZ3TA+のすごいところ。たとえばこのうちの2つを取り出して考えたとき、それぞれの出す音をそのままミックスしてフィルタにかけることはもちろん可能です。

Z3TA+
6つのオシレータを環状につなぎ、それぞれのオシレータ間でモジュレーションできる
しかし、それを掛け合わせるということが可能です。ひとつがキャリア、もうひとつがモジュレータという形になり、これはいわゆるFM音源ということになります。DX7に代表されるYAMAHAのFM音源は各オシレータはサイン波を出すものと固定されていましたが、このZ3TA+では60種類の波形を持ってウェーブ・シェイパーまで掛けられることを考えると、その音作りの幅は無限大です。

この掛け合わせのモジュレーションはFMモジュレーションのほかにもリングモジュレーション、PMモジュレーションなどに切り替えることが可能です。しかも、6つのオペレータが環状に接続可能となっているので、どうすれば、どんな音が出るのか想像もできません。逆にいえば、適当に設定したところで面白い音に出会える可能性がある、というわけです。
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