■2種類あるデジタル端子でのオーディオレコーディング
まず、前者の「音質劣化なくやりとりできる」というのは、この記事のテーマである「デジタルデータを完全な形でコピーする」ことに他なりません。たとえば、パソコンの外部に置かれたCDプレイヤーから取り込んだ場合、1ビットたりとも違わない完全に同じデータをパソコン上に再現するという意味になります。
もっとも単純にCDからデータを吸い上げるだけであれば、わざわざS/PDIFを使わずにも、CD-ROMドライブから直接データを吸い上げるリッピングという手段があるので、あまりこれを求める人はいないかもしれません。とはいえ、最近のコピープロテクトのかかったCCCD(コピーコントロールCD)の場合、基本的にリッピングができないようになっているから、かえってS/PDIF取り込みのニーズは高まっているのかもしれませんが…。
一方、後者の「デジタル機器間でノイズがまったく混入せずにデータの転送ができる」というのは、アナログでのダビングと違い、外部の音が漏れて入ったり、ザーとかサッーというノイズが混入しないということであって、まったく同じデータであるとは言っていないわけです。
「えっ、そんなの初耳」という人もいると思いますが、実際その2種類が存在し、パソコン用のサウンドカード、オーディオインターフェイスでも、前者タイプ、後者タイプ、また中には両方可能なタイプといろいろ存在するのです。
もっとも、多くの人が今の説明を読むと、「音質劣化なくやりとりできる」ほうがいいじゃないかと感じるかもしれませんが、必ずしもそう言えないという状況もあります。使い勝手という面では、圧倒的に後者の「デジタル機器間でノイズがまったく混入せずにデータの転送ができる」がいいからです。