DTM・デジタルレコーディング/DTM基礎知識

【シリーズDTMの基礎知識 2】 MIDIケーブルを流れる信号の正体

MIDIとは電子楽器同士を接続するための規格です。では、MIDIではどのような仕組みで、どんな情報のやりとりをしているのしょうか? 今回は、少し具体的にその信号について説明してみたいと思います。

藤本 健

執筆者:藤本 健

DTM・デジタルレコーディングガイド

――MIDIケーブルを流れる信号の正体――


MIDIとは電子楽器同士を接続するための規格です。では、MIDIではどのような仕組みで、どんな情報のやりとりをしているのしょうか? 今回は、少し具体的にその信号について説明してみたいと思います。

【1】MIDIで扱っている基本的な情報

図のように、MIDI楽器2台をMIDIケーブルを使用して接続し、楽器Aを弾けばユニゾンで楽器Bからも同じ音が鳴ります。このとき、二台の楽器を接続しているMIDIケーブルの中を高速でデジタル信号が流れています。

この記事を読んでいるみなさんは当然、インターネットに接続しているはずですが、MIDIもインターネットでの通信と似たデータ転送が行われており、MIDIはアナログモデムやISDNの半分近いスピードで信号が流れています。具体的な数値で表すと、ISDNならば64kbps、アナログモデムなら56kbpsですが、MIDI信号は31.25kbpsのスピードです。

そして、このMIDI信号では、もっとも基本的なデータとして次の二つの情報が送られています。

(1)音の高さ(KeyNote情報)
0~127の128段階に分かれています。鍵盤の位置、鍵盤の左から数えて幾つめの鍵盤かで扱われています。たとえば、鍵盤の中央のドが60、その半音上のド#が61、レが62となります。

(2)音の強さ(Velocity)
鍵盤をどれくらい強く叩いたかを0~127の128段階であらわします。Velocity=127が最大音量、0が鍵盤を叩かないという意味で、音を止める際に用います。楽器Aで鍵盤中央のドを引いた場合は、
・60の音を強さ50で出た
・60の音が消えた(=強さ0で出た)
という情報が、MIDIケーブルを通じて楽器Bに伝達されることになります。

さらに、ドミソの和音を出した場合は、
・ドの音が強さ50で出た
・ミの音が強さ60で出た
・ソの音が強さ55で出た
という情報が短い時間の間に次々と送られます。数値的には1msec程度のタイムラグがあり、当然楽器Bでも同様のタイムラグを持ってド・ミ・ソと順番に音が出ることになりますが、人間の耳は20msec程度までの差はほとんど聞き分けることができないので、ドミソが同時に鳴っているように聞こえます。
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