DTMにおいて必須のMIDI音源には、これまでローランドのGS、ヤマハのXG、AMEIやMMAによって国際標準規格として制定されたGMと3つの規格がありました。お互い共通する部分を持ちつつも別規格であったため、ユーザーには分かりにくいことばかりでしたが、このたびローランドとヤマハがMIDIデータの互換性を高めるための相互協力を発表しました。
MIDIを用いて曲を作る場合、どの音色番号がどの音色であるかは重要な要素です。これが異なれば、MIDIファイルを再生させてもメチャメチャな音になってしまい、曲としての再現性がなくなってしまいます。
こういった問題をなくすため、音色配列を決めるGMという音源規格が1991年に登場しました。ただ、これはごく基本的な基準を設けたに過ぎず、ユーザーからもあまり相手にされなかったのです。その一方でローランドとヤマハはそれぞれGMを拡張したGS、XGという規格を発表し、それぞれの製品を発売してきたのです。
DTMの世界で二大勢力であるローランドとヤマハが別々の規格で音源を作り、それぞれに互換性がなかったため、ユーザーには非常に分かりづらい状態が続いてきました。さらに、1998年にはGMも拡張されGM Level 2となったものの、これがGSともXGとも互換性を持たなかったため、結果3種類の規格が生まれ、より混乱していったのです。
そんな宿敵であるローランドとヤマハが規格統一に合意したという発表を1月16日に行ないました。正確には規格統一ではなくGS、XG、GMの3つが存在したまま、それぞれが規格をオープンにし相互乗り入れをしたソフト、ハードを製品化していくということを発表したのです。この関係性についてはローランドのニュースリリースおよびヤマハのニュースリリースに掲載されているので、ご覧ください。
さて、今年の最初にこのようなDTM界に大きな動きが出たことを受けて、それに対応した製品が登場してくるのでしょう。
しかし、実はこのGS、XG、GMの3つが混在した音源は初めてというわけではありません。ヤマハはXGの中にTG300Bモードというものを持っており、これがGS互換でした。ローランドも名前はつけていませんでしたが、XGに相当するモードを持ち、製品に反映させていましたから、実は今回の発表は現状を追認したにすぎないのです。
とはいえ、ユーザーからは分かりにくかったことは事実ですから今回の動きは歓迎すべきものです。そして、これはGSとXGのフェードアウトをも意味しているのです。両社とも今後GSやXGという規格を前面に出さず、GM Level2を押していくと表明しているのです。
今後はローランドとヤマハ以外のメーカーがGS、XGにどう対応してくるか、そして各ソフトハウスがこれにどう対応するかは非常に気になるところです。これからも、音源規格に対する各社の動きは注目していきたいと思います。
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