アマルフィ海岸と妖精たちの伝説
かつてはイタリア四大海洋都市としてピサ、ジェノヴァ、ヴェネツィアと覇を競い合ったアマルフィ。こちらが共和国の中心、アマルフィの街並み
絶壁にたたずむ邸宅とアマルフィ海岸
一方、アマルフィの西にあるポジターノには、ギリシア神話の海の神ポセイドンが、愛する妖精パジテアにこの街を贈ったことからその名がついたという伝説が残っている。街にはポセイドンやパジテアの名を冠した通りやホテルがいくつもあり、伝説はいまも伝えられているようだ。
ポジターノ近くのガッリ諸島にはギリシア神話の怪物セイレーンが住みついていたといわれている。セイレーンとは、上半身が人間の女性、下半身が鳥の姿をした伝説上の生き物で、海の岩の上に座って美しい歌を歌い、船人たちを惑わして難破させ、海に引きずり込むのだという。実際にガッリ諸島の3つの島の周囲の海中には、多くの難破船が沈没しているらしい。
天国の地獄 アマルフィ海岸
円すい形をした山を取り囲むようにして家々が連なるポジターノの家並み。パステル・カラーの色使いがとてもかわいらしい
断崖を背にしたアマルフィの街並み。中央がドゥオーモの鐘楼
ソレント半島は海と山が出会う場所。平野はほとんどないので、人々は断崖に張りつくように家を建てて暮らしている。当然毎日山の上り下りを強いられるわけで、誰がいったか「景色は天国、暮らしは地獄」。
19世紀以前は道路がなかったためにほとんど陸の孤島となっていて、他の街との連絡手段は船のみ。豊かな土壌も川もないうえに潮風が強いので、穀物を栽培することもできなかった。時に嵐が強烈な風と波と雨をもたらし、また強力な海洋国家や海賊が攻めてくることもあった。
人々はこんな場所でどのように繁栄を勝ち得たのだろう?