あらすじ
深川の芸者・小万と船頭三五郎が船に乗って出てくる。三五郎の父の旧主のため、金が必要となり、小万を芸者にして稼いでいる。小万を贔屓にする浪人・薩摩源五兵衛もその金づるの一人。
源五兵衛の浪宅では道具屋が家財を全部運び出している。源五兵衛、実は塩冶家の旧臣・不破数右衛門は、亡君の仇討ちに加わるために、御用金盗難の責任を負っている。なのにデレデレと小万に入れあげているので、若党八右衛門が諌めている。
小万たちがそこへやってきて、腕に「五大力」という誠を誓う彫り物を見せるため、源五兵衛はますますメロメロに。
深川二軒茶屋では、小万たちが源五兵衛をだまして金を巻き上げようと一芝居が用意されていた。ある武士に請け出されそうになる小万を、源五兵衛が大枚百両を出してしまう。この金は、源五兵衛の伯父・富森助右衛門から預かった金だった。助右衛門はこのことを知り源五兵衛を勘当する。小万と三五郎は、実は二人が夫婦だと明かし、源五兵衛は呆然となる。
三五郎たちが仲間の家で集まっている。小万の腕の彫り物を「五大力」から「三五大切」に直す。寝静まった後、源五兵衛が忍び入り、五人の三五郎の仲間を斬り殺すが、三五郎と小万はほうほうの体で逃げ出す。