最終章に母親の日記の一部も掲載されている。あまりにも長期に登る不良行為は、本人が予想する以上に母親を疲労困憊させており、たった一日だけ、まじめに起床し、まじめに登校、帰宅後勉強する日の記述において、母親は涙を堪えられないほどだったいう。
このあたりは本人ならずとも感慨深いところとなっており底辺には「家族」というテーマも存在しているように思う。どうしても「家族」のことが脳裏から離れないところは文章中から読み取れる。飯島愛の良さは、やはり飾らない「笑顔」であり、愚痴を吐いても最終的には「前向きな姿勢」にある。今回の自伝『PLATONIC SEX』も衝撃的な内容であるにも関わらず、彼女の前向きな姿勢が見え隠れしている。
今回の出版について一部では、彼女の今後のタレント活動への影響を懸念する声もあるようだが、私は彼女の「英断」であったのだと思う。この本が出版される以前の純粋なファンサイトには、過去を全く表に出さない彼女の姿勢に疑問を投げかけるものもあった。自分の過去を消却するようなスタンスを許せないというわけだ。
しかし彼女の気持ちもよくわかる。数年前のテレビ出演とは異なり、現在では、歯に衣着せぬコメントや明るい笑顔が一番の魅力だ。あえて、テレビ上で過去の経歴やイメージをあらわにすることはできないし、する必要もなかった。ただ、自分の経歴を隠していると思われることに対して「ふざけるな!」と思ったのではなかろうか?
彼女は自分の経歴を恥じているわけではないし、ただ、両親に迷惑をかけたことについて後悔しているのだ。親元を離れ、早くから自立への意識があり、お決まりの人生のレールに対して「NO」を突きつけた。そのためにはどんな手段を使ってでも生き抜くかなければならなかった。現在の「飯島愛」の基盤にはそういった過去の苦労がある。それを忘れるほど馬鹿なタレントではない。
本書は彼女自身の人生四半期の総括であったのだと思う。これからもどんどん「表舞台」に立って、いつもの口調でバッサリと芸能人、世間を切り倒して欲しい。同世代である私は特に強く応援したいという念に駆り立てられる。他人には真似の出来ない自分の経験を活かしてあらたな分野を開拓してほしいと願ってやまない。
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