結婚退職後も失業保険の受給は可能
女性の中には、結婚を機に退職をする人もいますね。こんな時に気になるのが、退職後の失業保険。結婚退職でも失業保険が受給できるのでしょうか? 結婚退職でも条件が揃えば、失業保険の給付を受けることができます。今回は、結婚退職時に失業保険が受給できる条件についてご紹介します。<目次>
結婚退職後も再就職先を探していれば、失業保険の受給資格あり
一般的に失業保険と呼ばれているのは「雇用保険の基本手当」と呼ばれるものです。雇用保険の被保険者(給与から雇用保険料が天引きされている)が、失業状態になり再就職先を探している時に支給されます。失業の理由は問われませんので、結婚退職であっても受給資格はありますよ。結婚を機に働き方を変えたい、引っ越しをするので今の会社に通勤できない……などで転職したいということはあるでしょう。このような場合は、失業保険の受給資格があります。
失業保険の受給には、結婚後も働く意志が必要
ただし、誰でも失業手当を受給できるというわけではありません。以下の2つの条件が必要です。- 「就職しよう」という意思があるにも関わらず、就業できない失業状態であること
- 離職するまでの2年間で、雇用保険に加入していた月が通算して12カ月以上あること
つまり、結婚後も働きたいという意思がないとだめです。しばらく専業主婦を楽しんでから働きたいというのは対象外となります。結婚後も働きたくて、すぐにでも働くことができることを確認しましょう。
引っ越しすれば「特定理由離職者」に該当
結婚にともなう引っ越しで通勤が困難となり、退職を余儀なくされた人は「特定理由離職者」とみなされ、一般の退職者より少し優遇されます。 一般の受給資格は「離職するまでの2年間で、雇用保険に加入していた月が通算して12カ月以上あること」という条件でしたが、特定理由離職者になれば、「離職するまでの1年間で、雇用保険に加入していた月が通算して6カ月以上あること」となります。条件が緩和されています。1年間働いていなかったから失業保険はもらえない……とあきらめていた人も、結婚による引っ越しが理由であれば受給可能になるかもしれません(詳細はハローワークにお問い合わせください)。
また、一般の退職では、3カ月間は手当が支給されません。給付制限とよばれる待機期間なのですが、この特定理由離職者になれば、待機期間がなくなる可能性があります。結婚とともに引っ越しをされる方は覚えておきましょう。
結婚退職後の失業保険、受給日数は自己都合と同じ
では、具体的にどれくらいの期間、受給できるのでしょうか? また、失業保険を受給しながら、健康保険や年金の扶養者となれるのでしょうか? 表は、雇用保険の基本手当(失業保険)の給付日数です。結婚退職は一般退職となるので、一般離職者の場合となります。失業保険の基本手当日額
失業保険で受給できる1日当たりの金額を「基本手当日額」といいます。この「基本手当日額」を受給日数分、支給されるということです。この基本手当日額はどのように決まるのでしょうか? 原則として離職した日の直前の6カ月に毎月きまって支払われた賃金(賞与は除く)の合計を180で割って算出した金額(賃金日額)のおよそ45~80%です。
失業保険受給中は、健康保険・年金の扶養者に注意!
ここで気になるのが、失業手当受給中の健康保険や年金のこと。一般的に、無職の配偶者は健康保険の被扶養者となります。年金の方も、サラリーマンなどの妻であれば第3号被保険者となり、保険料の負担がありません。いわゆる専業主婦の優遇というものですね。ただし、無職といっても失業保険を受給している間は、この扶養者に入れない可能性があります。
基本手当が日額3612円以上で、社会保険(健康保険や年金)の扶養には入ることができません。社会保険で扶養に入れる条件は、年収130万円未満です。これを日額にすると「130万円÷360日(30日×12月)」で3612円未満ということですね。
健康保険組合の場合は要注意
ただし、健康保険組合によっては、基本手当日額3612円未満でも扶養に入れない場合があります。健康保険組合は独自の判断基準をもっています。退職金やそれまでの収入などで判断される場合もありますので、ご注意を。結婚退職する場合は、夫の健康保険に問い合わせておくといいですね。扶養から外れる場合は、自分自身で国民健康保険や国民年金に加入し、保険料を負担する必要があります。また、退職後すぐに失業保険を受給し扶養から外れる場合は、任意継続被保険者になることも選択肢に入ります。国民健康保険とどちらがいいか検討してください(詳しくは「失業時の健康保険、3つの選択肢」参照)。
結婚退職をしても働く意思がある方は、失業保険を受給しながらじっくりと再就職先を見つけてください。
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