ピラミッドにまつわる数々のミステリー
クフ王のピラミッドの横には太陽の船博物館がある。これは王が死後冥界を旅するための船メセテクト ©牧哲雄
■どうやって造られたのか?
わかっていない。ヘロドトスは何らかの機械を用いたと書いているが、その証拠はいっさいない。現在では、ピラミッド周辺に土を盛って長いスロープを造って石を運んだというスロープ説が有力であるようだ。
■ピラミッドはなぜナイル川の西岸にしかないのか?
発見されているピラミッドは、すべてナイル川より西側にある。同じ世界遺産であるルクソールの王家の谷もナイル川西岸にあるが、これは西岸が日の沈む方向にあたるため、ネクロポリス(死者の街)とされていたことによる。ピラミッドも同じだと考えられる。地形的に船から石を降ろしやすい西岸が選ばれたという説もある。
サッカーラは宮殿、葬祭殿、神殿などを持つピラミッド・コンプレックス。こんなレリーフも見ることができる ©牧哲雄
現在発見されている空間は、女王の間、大回廊、王の間、重量軽減の間、地下の間(いずれも名前に根拠はない)。実は未知の通路も発見されているが、ピラミッドの一部を破壊しなければ入れないため、いまのところ未踏の空間となっている。ピラミッドの10~20%が空洞だという説もあり、そうするとまだかなりの空間が残っていることになる。
■円周率を知っていた?
ピラミッドの底辺の各辺の長さの和を高さの2倍で割るとほぼ3.14の値がはじき出されることから、古代エジプト人は円周率を知っていたのではないかといわれている。これも謎だが、古代エジプトでは車輪が知られていたので、車輪を使って長さを計測したなら円周率は自然に導き出される。たとえば車輪を100回転させたとき、長さは100×直径×円周率だ。ただ、計測輪はまだ未発見だという。
■ピラミッド・パワーは存在するか?
なんともいえないが、これだけの膨大な重量があると遠赤外線や電磁波の影響はあるらしい。ただ、1万年以上前に造られたとする説は、クフ王のピラミッド内の落書き(未踏の空間に、クフ王の名が落書きされていた)や、クフ王のピラミッド近くで発見されたクフ王のものと思われる太陽の船が、炭素同位体法という科学的測定法で約4千年前の建造と測定されたことから、考えにくいようだ。