水の精ローレライの伝説
左の岩山が高さ132mのローレライ。狭まりながらの急カーブと多数の岩礁のために遭難が相次いだが、現在は岩礁を爆破し、川幅を広げたおかげで安全な航行ができるようになった
この伝説、どうやら19世紀に詩人ブレンターノが様々な伝説を参考に物語にしたものらしい。これをハイネが詩に起こし、ジルヒャーが曲を書いて民謡とした。
ローレライの岩山を見上げていると、どこからともなくローレライの歌が流れてくる。歌は岩にこだまし、不思議な空気で旅人たちを魅了する。
サンクトゴアハウゼンの家並みとネコ城。ローレライの岩山に登りたい人はこの街で下船しよう
このふたつの街を経ると船はガラガラだ。多くの観光客がどちらかで下船してバスに乗り換え、次の観光地へと移動する。
ボッパルトの大湾曲とマルクスブルク城
ボッパルトから見た大湾曲。右奥から下ってきたラインの流れは左奥へと180度方向を変える
続いて出てくる街がボッパルト。2,000年の歴史を誇る古い街で、古代ローマ時代の要塞跡やカルメリッター教会、木組みの街並み、名産のワインとワイン畑が見所になっている。でも、なんといってもオススメはライン川が180度方向を変える大湾曲。街外れのリフトで山に昇ると、山頂からはこの大湾曲を望むことができる。
古城博物館として砲台、武具、牢獄などを公開しているマルクスブルク城
さて、シュトルツェンフェルス城を過ぎるといよいよ終点、コブレンツだ。
モーゼル川との交差点、要衝コブレンツ
奥から流れてくるのがモーゼル川で、ふたつの河川の間にある中央の角がドイチェス・エック。エーレンブライトシュタイン城からの眺め
さて、ロマンティック・ラインもここで終わりだが、ライン川はさらに勢いを増してボン、ケルンへと下っていく。船を乗り換えればさらにライン下りが可能だ。
ここまでの乗船時間は6時間弱。普通に下ると半日で終わってしまう行程だが、それではあまりにもったいない。ロマンティック・ライン沿いには数多くの古都があり、古城ホテルや木組みのホテルに泊まりつつ、かわいらしい家並みをゆっくり優雅に楽しみたい。
旅のお供はもちろんワイン。リースリングの味わいは超甘口~超辛口まで多彩で、ゼクト(スパークリングワイン)やアイスヴァイン(アイスワイン)、トロッケンベーレンアウスレーゼ(貴腐ワイン)もあり、楽しみ方は無限。ワイン片手の気ままな各駅停車旅はいかがだろうか?