子どもの本の深みを語る『橋をかける―子供時代の読書の思い出』
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ここで購入!読書は少女時代の美智子皇后陛下に、あるときは「根っこ」を与え、あるときは「翼」をくれたと語られています。 | 1998年の夏、美智子皇后陛下は、国際児童図書評議会(IBBY)の第26回ニューデリー大会において「子供の本を通しての平和―子供時代の読書の思い出」という題で、ビデオテープの上映による基調講演をされました。国際児童図書評議会というのは、1953年にイエラ・レップマンによって創立され、子どもと本を結ぶ世界的ネットワークの役割を果たす組織で、読書活動支援や、子どもの本の調査・研究などをおこなっています。日本では日本児童図書評議会(JBBY)がアンデルセンの誕生日にちなんだ4月2日の国際子どもの本の日にイベントを行ったり、専門家を招聘しての講演会を開催したりしています。
『橋をかける』には、上映で削られた部分も含め、日本語版、英語版で皇后陛下の初稿が収録されています。少女時代や戦争の疎開時の経験をおりまぜながら、子ども時代の読書体験を振り返り、子どもと本との関わりについて素晴らしいお言葉で、その本質を見事にとらえ、子どもの本に関わる人たちに感銘を与えました。本が子どもの中に、生きる喜びや飛翔する翼を与え、他者への共感の心をはぐくむというくだりもさることながら、「読書は、人生の全てが、決して単純でないことを教えてくれました。私たちは、複雑さに耐えて生きていかなければならないということ」という一文に、ガイドは深くうなずきました。
■『橋をかける 子供時代の読書の思い出』
文:美智子
出版社:すえもりブックス
出版年:1998
価格:1,365円
IBBYの活動に理解を示される『バーゼルより―子どもと本を結ぶ人たちへ』
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ここで購入!美智子皇后陛下が名誉総裁をつとめられた、IBBYの創立50周年記念大会のスピーチが収録されています。 | 同じ2002年の秋にスイスのバーゼルで、IBBYの創立50周年記念大会が開催されました。当時の会長であった島多代さんが大会を運営され、美智子皇后陛下は、エジプトのムバラク大統領夫人と、スイスの前大統領ドライフス女史とともに名誉総裁をお受けになりました。『バーゼルより』には、皇后陛下のスピーチと、皇后陛下とIBBYとのかかわりについての島さんのエッセイが、いずれも英語と日本語で収録されています。様々な状況下にある子どもたちの可能性を信じきられているお言葉にじんとします。
■『バーゼルより―子どもと本を結ぶ人たちへ』
文:美智子
出版社:すえもりブックス
出版年:2003
価格:1,890円
子どもの本に対する皇后陛下のご理解が、愛子さまや悠仁さまの絵本選びの背景にはあるのではないでしょうか。IBBYの会長を4年間おつとめになった島多代さんや、すえもりブックスの末森千枝子さんなど、聖心女子学院のお仲間からの影響もおありになったようですが、そこから学ばれ、子どもの本の力についてお考えになっていらっしゃいます。絵本は子どもの生活にとってはごく小さな一部ですが、とても大切なものであることを、「本物」を重んじる皇后陛下はご理解なさっているように感じます。
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<関連サイト>
「皇后陛下のIBBYにおけるおことば等」
社団法人 日本児童図書評議会
すえもりブックス