絵本/絵本関連情報

パリのおしゃまな女の子!マドレーヌ(前)(2ページ目)

パリのツタのからまる古い屋敷に、ミス・クラベルと12人の女の子が寄宿舎暮らしをしています。一番おちびさんで一番元気なのがマドレーヌ。生き生きと毎日を過ごしています。

執筆者:鈴木 宏枝

サーカスと一緒にフランスの旅まわり『マドレーヌとジプシー』

ぺピートの招待でみんなはジプシー・サーカスの見物に出かけます。ところが、マドレーヌとペピートは観覧車のてっぺんに取り残されてしまいました。二人はジプシー母さんに助けおろされ、そのまま巡業の一団の仲間になります。

おそらくはロマへの偏見から絶版と復刊がくりかえされてきた絵本です。ガイドの住む地域の図書館では、書庫に収納されていました。マドレーヌとペピートは半ば強引にサーカスの一員にされ、フランスじゅうを旅してまわります。池で泳いだり、馬車のそばのたき火で煮炊きをしたり、サーカスの芸当を覚えたりするのは楽しいですが、最後には二人からの絵葉書を手がかりにミス・クラベルがノルマンディに駆けつけ、家に帰ることになります。

「ミス・クラベル! やっと おあいできましたね。このてで だかせてくださいな」

二人をサーカスにとどめたかったジプシーたちの描き方は、現在では問題とされるしょう。ジプシー母さんは水晶玉でミス・クラベルの動向を知り、再会できないようにマドレーヌとペピートにライオンの皮をかぶせます。サーカス団が旅してまわるフランス各地の絵の描写に定評がある絵本ですが、ガイド自身は洗練された暮らしに戻っていくマドレーヌたちに置き去りにされた「ジプシー」の側をついつい考えてしまいました。

■『マドレーヌとジプシー』
作・画:ルドウィッヒ・ベーメルマンス
訳:瀬田貞二
出版社:福音館書店
価格:¥1,365
発行:1958,59/1973.5

空飛ぶじゅうたんの贈り物『マドレーヌのクリスマス』

クリスマスの前の晩、みんなが風邪で寝込んでいる中、一人マドレーヌだけが元気です。そこにトントントンと玄関をたたく音。出てみると行商のじゅうたん売りでした。じゅうたん売りは実は魔術師。呪文を唱えるとじゅうたんは空を飛び、12人の女の子たちにすばらしい休日をプレゼントします。

じゅうたんと言っても、ベッドの足元に置くようなマットといえばよいでしょうか。女の子たちがごろんと横になるとちょうどいいサイズです。夜のパリの空を朱色のじゅうたんに思い思いの格好で乗った女の子たちが金の星のステッキを片手に飛び回っている見開きページの絵がとても素敵。これこそ、クリスマスの夜にふさわしい魔法ですね。女の子たちがじゅうたんに乗って、それぞれ家族のもとに帰省していく様子には、なんだか胸がぎゅっとしました。いくら楽しくても、元気でも、良家の子女でも、お父さんのひざで甘えたい年頃の子どもたちなのでしょう。

■『マドレーヌのクリスマス』
作:ルドウィッヒ・ベーメルマンス
訳:江國香織
出版社:BL出版
価格:¥1,260
発行:1956/2000.11

>>次のページは 旅をするマドレーヌ『ロンドンのマドレーヌ』『アメリカのマドレーヌ』
『マドレーヌとジプシー』
ここで購入!ミス・クラベルと子どもたちは、ジプシーサーカスの見物に出かけました。ところが観覧車に取り残されたマドレーヌとペピートは、そのまま一座に連れていかれてしまいます。
『マドレーヌのクリスマス』
ここで購入!クリスマスの前の晩にたずねてきた行商のじゅうたん売りは、実は魔術師でした。マドレーヌが買った12枚のじゅうたんは、女の子たちを乗せて空を飛びます。
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