幼児期のケンカはコミュニケーションの大事な練習
子どものケンカを考えるには、まず子どもの年齢が大事な要素になってきます。大きく分けるなら、幼児期~小学生と、思春期以上との2つに分けることができるでしょう。コミュニケーションを学ぶ途中の幼児期にはケンカは必要なものであり、いいレッスンとなります。なぜ自分は怒っているのか、相手はどう思ったのか。謝り方、許し方、それを言うタイミングは。「ごめんなさい」「お願いします」「ありがとう」などの単純な言葉の使い方を、まず親が上手に教えてあげることで、コミュニケーションのパターンを自分の中にどんどん蓄積していくのです。
小学校では、もう少し視野が広くなり、1対1のお友だち関係から集団を意識し始め、交友の幅も広がります。低学年のうちは、かんしゃくや人見知りなど、まだ感情面でも未発達な部分が残る子どもが多いので、幼児期の延長で、「現場で」大人が観察し適切なタイミングで介入する必要性があります。
状況を観察できる目が育ち始める中学年あたりからは、何かトラブルがあれば子どもに様子を語らせ、かつ親が自分の目でも状況を確認しながらアドバイスをするという、「現場」から少し距離を置いた介入がうまくいくことが多くなるでしょう。
自意識が芽生える高学年からは、感情と方法論を論理的に考えさせることで、問題解決の自助努力を促します。
「どうしてあなたはそう思ったのか?」
「相手はなぜそういうことを言ったのだと思う?」
「たたいたら、本当に自分の気持ちはすっきりした?」
状況を反芻させ、場面に応じた感情のコントロールを学ばせます。
難しい思春期は「いつでも相談に乗るよ」。親が味方に
ところが、子どもが中高生にもなれば、「親が子どものケンカに口を出すなんて」という意見が、俄然説得力を増します。というのも、子どもが状況に適応する能力をはぐくむには、やはり自分で問題解決をし、失敗や成功を蓄積することが最も大事なため。自分で考えなければ、子どもは育たないのです。そもそも、自分が中高生だったときはどうだったか振り返ってみてください。たとえどういう時代であったにせよ、自分と友達の間に親が出てくるなんて、恥ずかしくて仕方なかったはず。
しかしその恥ずかしさや、また人に相談するすべを知らなかったがために問題をひた隠しにしてしまい、ある日爆発してしまう子どももいます。ですから、大人が子どもの様子に注意を払っていることは大切です。子どもの性格は様々なので、単純に物理的な年齢や「べき・べからず」ではなく、子どもの心境に寄り添い、状況に応じて「子どもが何を必要としているか」を軸に考えることが最善かもしれません。
大人に口出しして欲しい子は、支援を必要とし、調和を大切にする子。口出しをして欲しくない子は、自立心・好奇心が旺盛な反面、勇敢すぎる(無謀な)部分もあるでしょう。どういう年齢の子どもであっても、親が一貫して「あなたが外でどのようなケンカをして帰ってきても、私はいつでも相談に乗るよ」という姿勢で見ていてあげることが、子どもにとって一番の自信となり、安心となるのです。突き詰めれば、親こそが子どもの一番の味方。あなたは、お子さんにとって今も「安心できる基地」ですか?
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