スポーツ界では、親が子のコーチとなった華やかな成功例がたくさん。でも、それが原因でこじれる親子関係も。親による子どもコーチング、どのような姿勢で臨むべき?

≪INDEX≫
スポーツ界は親子鷹ブーム!・・・P1
「親子鷹のリスク」~成功例の影に累々たる「グレちゃった子どもたち」・・・P1
ハンカチ王子の家庭に見る成功の秘訣! ~逃げ道があることが大切・・・P2
親が子どもに尊敬「されたほうがいい」ワケ・・・P3
心理学の世界的カリスマが言う!「ほどほどの親がいい」・・・P3



スポーツ界は親子鷹ブーム?

親子鷹は成功もあれば、失敗もある。その関係性が大切なのだ
今、スポーツ界の「親子鷹」がちょっとしたブーム。ゴルフ界では宮里藍プロや横峯さくらプロ、ボクシング界では亀田三兄弟、山本KID(格闘技)・美憂(レスリング)姉弟、卓球の福原愛選手など、親がその道の師となって、我が子を賞やメダルまで導き、世界を股にかけて活躍しているというケースが多く見られます。

親がその道で範を示し、「親に追いつき追い越せ」と目指される立場になることで、子どもを上手にコーチしているのでしょうか?やはり、「親こそが子どもの一番の師なのか。親は子どもを導くものなのだな」と思ったところで、ガイドははたと考えてしまいました。

この夏の初めに起きた、奈良の高校1年生による自宅放火事件。「厳しく、学力に優れた医師の父」が、少年の勉強を指導していく中で、世間でも優秀と評判の息子は恐怖と恨みを募らせ、自分がいずれは継ぐはずと目されていた家に火を放ち、母と兄弟たちの命を奪いました。

この事件は、いったい何だったのでしょう?奈良の少年放火事件のあとも、それに刺激されたかのように全国で少年たちが親を死に至らしめる事件が相次ぎ、とうとう週刊誌には「子どもに殺されないために、どうしたらいいか?」などという記事が躍る始末。

きっと、子どもにとって「良かれ」と思ったゆえの厳しい指導。その親に向かって、少年たちが殺意を募らせたのはなぜなのか?そもそも「親子鷹」は、なぜ大成功する場合もあれば、悲劇に終わる結果もあるのか?家族問題を専門とする心理学者の生田倫子先生に、お話を伺いました。

「親子鷹のリスク」 ~成功例の影に累々たる「グレちゃった子どもたち」

ガイド:この夏も少年事件が多発しました。少年が自分の親に攻撃の矛先を向け、死に至らしめてしまうという凄惨な事件が多かったのが印象的です。奈良の高校1年生男子による自宅放火事件を例にとると、医師である父親への恨みが動機と報道されていますが、「親の指導」が子どもをそこまで追い詰めてしまったのは、なぜなのでしょうか?

生田先生: 奈良の事件は、もしあのまま少年が父親の指導に従い、いずれ有名大学の医学部に首尾よく合格していたら、むしろ「優秀な父親の献身的な指導により、努力が身を結んだ」などと、美談になっていたはずです。

しかし、その親子関係が破綻し悲劇を迎えてしまった。「うまく行かなかった」から、この事件があれこれとメディアで取り上げられ、「子どもに殺されないようにするには?」などと大真面目に論議されるのです。

ガイド:うまく行けば美談となり、うまく行かなければ批判の矢にさらされる。「親子鷹」はまるで結果論ですね。

生田先生: そう感じますね。「親子鷹」の評価は、「超」結果論と言うことができるでしょう。「親子鷹」というのは、昔からあるしつけや教育のありようです。マンツーマンでぴったりくっつき、親が子の進度を管理する。しかし現実的には、スポーツ界で成功しもてはやされている「親子鷹」の影に、才能が伸びず親の期待を裏切ってしまったことに苦しむ子どももたくさんいることでしょう。結果的に「グレて」しまう子どももいるわけです。

ガイド:たまたま子どもに才能があり、親のコーチの方法もフィットした、というわけですね。

生田先生: 「親子鷹」は、親子関係を吉にも凶にもするリスクを内包しているのです。親が子どもに「この道」を追求させるというのは、換言すれば「価値観が家庭の中で一つだけになってしまう」ということ。例えば子どもを「どうしても野球選手にしたい」、と親が思い込んでしまったら、仮にその子が非常に絵が上手い、または勉強ができるとしても、その家庭の中では「ダメな子」なわけです。

親がこうあってほしいと思い描く像は必要ですが、そのイメージが子どもにフィットしているかは、必ずよく見なければいけません。うまくいけばいいですが、もし子どもにフィットしない場合にうまく方向転換できるかどうかが試されます。

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