子育て事情/ママ友

Facebook上のママ友との付き合い方……SNS人間関係のコツ

Facebookなど、SNS上の付き合いでオープンになる情報が、ママ友間での妬みにつながることも。子どもの自慢投稿を見ていいね!を押したりコメントしたりする煩わしさやストレス。Facebookに限らず、SNSでのママ友付き合いのコツとは?

河崎 環

執筆者:河崎 環

子育てガイド

 

Facebookでママ友関係に振り回されるトラブルが続出

Facebookでママ友のトラブルが続出している

「小さな画面上のほんの数行の言葉が気になる……」

ママ友間でのFBトラブルやストレスが話題となっている。SNSを活用してきた世代が親となる時期に突入してきたことも大きな要因だと思うのだけれど、ママ友とSNSで繋がって情報交換をしたり、家族や子育ての悩みを相談したりなぐさめたりしているうちに、ふとしたきっかけで人間関係がこじれてしまうのだという。

あるワーキングマザーは、「初めはフェイスブック(以下FB)でママ友と繋がって、仲間がいるという感覚に励まされたり、情報交換を楽しんでいたけれど、今は距離を置いています。スマホからFBアプリを削除して、たまにウェブでFBを見ても、終わったらログアウトする自分ルールを作りました」と語る。

そこへ至ったのは、自分がFBの人間関係や、他人の投稿に振り回されていると感じ始めたのがきっかけだという。「小さな画面の中のたった数行の情報に過ぎないのに、気にし始めるとそれにすごく振り回され、仕事しているとただでさえ子供と一緒に過ごす時間が少ないのに、そんな時間がもったいない、無駄だと思ってしまうんですよね……。」

たとえば備忘用育児録のようにして気軽に書いた「今日、うちの子が初めて立ちました!」が、子どもの月齢が近い人にとってはひょっとっすると成長の個人差などを気に病むきっかけになってしまうかもしれない。「自分の投稿を見るのも、仲の良い友だちから仕事関係者、会社の人、顔だけ知っている知人など、色々な現実で繋がりのある人が読むことを意識すると、あれこれ考えすぎて投稿しづらく、結局面倒になってしまうんです」。
 

Facebookでの「いいね!」は真意が様々……どう使われてる?

今日もFBのいいね!ボタンをいろいろな思いで押す何億もの人々がいる。

「すごーい! いいね!」「いいねぇ」「いいんじゃない」「はいはい、いいねいいね」「どうでもいいねw」「知らんがな」「こないだ押してくれたから、お返し」「はい、見ました」、などなど。ひとのポストに対して押される「いいね!」の裏にも、いろいろ入り交じった感情が込められているものだ。

ポストの内容だけではない。プロフィールからは自分の出身や学歴が一目瞭然、友だち関係を探れば、ともすると家族関係や夫の本名、職業、学歴、親兄弟、設定によっては最近いつどんな買い物をしたかまで丸裸になるFB。使われ方は様々だが、そこに個人情報が詰まっていることを意識しているユーザはどれほどいるだろうか。

自分の使い方ももちろん、ひとの使い方が自分へ影響してくることもある。承認なく子どもの写真をポストされたり、普段は大人しいのにFB上では毒舌など普段とあまりにも違うネット上の人格にどちらを信じていいのかわからなくなったり。で、よく言われるのが「フェイスブック疲れ」。その手のSNS疲れはミクシィ時代からよく言われていたことだが、FBは本名登録が基本であるために、いっそう現実の暮らしとネット空間の振る舞いが混在して、ややこしい。

ネットではFBは「顔本」と呼ばれて、逆にネット慣れしているなら絶対手を出さないSNSの筆頭とされる。アンチ顔本派は、顔本はリア充の自己顕示欲を満たすメディアだと言う。別の言い方をすると、友だちの数を揃え、デザインをいじり、日常の小さな切れ端に過ぎない演出された写真(それはつまり非日常だ)を公開し、自分の言葉でなくともウェブのどこかで見つけたカッコ良さげな文章を「シェア」すれば、まるで自分がそれを言ったかのような気分になれる。FBの中で、人は等身大よりもはるかに大きくてカッコ良くてイケてる別人になれる。
 

Facebookを「使うべき人」と「本当の使い方」とは

それは、FBの成り立ちを考えればわかることだ。アメリカの最優秀エスタブリッシュメント予備軍、ハーバード大の男女学生たちをネットワークすることを目的に、学生時代のマーク・ザッカーバーグが学生としての社会経験と社会観で構築したものだ。

自分が普段からつるむ仲間だけではない。友だちの友だち、さらにその友だちへと「友だちの輪」を広げる。リアルで平凡な日々では出会えないような人に出会い、知見やコネのおこぼれをもらう。信頼できるコネクション先からこぼれてくる情報で、より有利な条件の仕事やポスト、参加すれば人に自慢できるようなパーティーを見つける。「より多く」の「より魅力的な」異性に向けて自分を印象づけ、なんならそこから実際のデートにこぎつけて、連絡も取りやすくする。

FBは、学生のように背負う役割が少ない人間が、自分の交友関係を「ドヤ」と見せてよりよい出会いを追求するような目的には大変合致している。同じように、何らかのビジネスを立ち上げた人間が、そのビジネスで利益をあげるべく人々に認知させていくような目的にも合致している。つまり、狭く明確な利益と、それを追求しようとする欲望があって初めて、有効に機能するSNSなのだ。
 

ママ友、含め大人の人生=Facebookをやるには複雑すぎる

例えば、一口にワーキングマザーと呼ばれる女性がどれだけの社会的な役割、顔を持っているかつらつらと考えよう。

まずは幼い頃から学校でたくさんの友人や先生に出会ってきた、個人としての顔。仕事を持つ、多少なりとも所属する企業名や業界をいくばくか背負うかもしれない、社会人としての顔。もしや、趣味の世界での“ハンドルネーム”さんの顔。配偶者がいる妻としての顔、そして子を持つ母としての顔。自分の実家の家族には娘、そしてきょうだいがいるのなら姉または妹、そして夫の家族に対しては「嫁」としての顔。どこかにひょっとすると元カレなんかがいたりするかもしれない、ひとりの女性としての顔。海外経験があるなら、いろいろな国籍、人種のひとびとに向けて発する日本人としての顔。

ひとが大人になり、家庭や仕事などいくつもの役割を持つようになると、人間関係や居場所はいやでも広がる。広がるというよりも、その役割を発揮せねばならない場所でそれぞれ局地的に人間関係ができるといった感じだ。役割とは、「顔」だ。大人になればなるほど、場所によって顔を変えねばならないことが増える。顔が変われば、物言いも変わる。その場で言っていいことと言ってはいけないこと、言うべきことと言うべきでないこと。信条は変わらずとも、言い方は変わる。または、相手とのやりとりで柔軟に考えも変わる。それが大人になるということだ。年を取れば取るほど、人間は多面的になっていくのだ。

それなのに、FBは気を付けて設定しないと容赦なくあなたのアドレス帳から知り合いを見つけ出し、または友人関係からさらなる交友関係を「察知」し、通知する。その通知に安易にのるような形で、自分の人間関係をすべて取り込んでしまうような真似をしたら最後、あなたという個人は各方面に遠慮してもう何も発言できなくなる。それが、実生活を超えたネットワーキングが結果的に提示する弊害だ。
 

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ママ友付き合いはあくまで「ママ友」として

ママ友付き合いはあくまで「ママ友」として

FBが普及し始めたとき、鋭い人はすでに「ミクシィの既視感」と指摘し、その行く末を言い当てていた。匿名登録が許されていたミクシィよりFBがさらにややこしいのは、リアルな人間関係をもとに構築されていながら、それぞれの変にネット的なもの言いや顔が流れ込むSNSだということだ。外の顔と、内側の変にウェットな部分が画面上で一緒に出てくることを承知で見ていないと、違和感があるのは当たり前。正直日本みたいに本音とタテマエを使い分ける社会なら一層「えっ、そんなこと考えてたの?」と人間不信になる一因である。

もちろん、トラブルになるのはFBに限らない。ツイッタ—だってLINEだって、普及すればするほどトラブル件数が多くなるのは当たり前で、結局は個人の使い方次第なのだ。だからこそ、SNSは「ひとがやっているから」と真似したり、仲良しの友だち同士で誘い合ってワケも分からないうちに始めると、あとあと痛い目に遭う。

ママ友同士でSNSを使うのなら、自分の「ママの顔」や、相手に見せてもいい顔だけでできるSNSを選ぶのがいいかもしれない。始めるときに「私、SNS得意じゃなくて」「すぐ返事できないかもしれないけれど、ゴメンね」くらいの牽制球を投げておいたほうが、お互いつかず離れずで気持ちよくコミュニケーションできる。それでなくとも、リアルな人間関係でさえコミュニケーション下手と言われる日本人、簡単にとても近しい関係になったかのような錯覚を覚えがちなSNSで距離を見誤ると、自分がつらくなる。

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