ガイド土橋:
次にメモについてお聞かせください。

北郷さん:
今よく使っているのは情報カードです。ちょっと大きめのB6サイズあたりをよく使っています。
情報カード
今、もっともよく使っているという情報カード。(撮影:北郷仁さん)

これが良いのは1枚でも紙にコシがあって、万年筆でもとても気持ちよく書けることです。

この情報カードに何でも書いていきます。それこそ、電話を受けた時のメモから、原稿作成までなんでもです。

実は撮影だけでなく、雑誌に少しばかり原稿も書いているんです。カメラ雑誌の中でレンズのインプレッション等です。

そういう原稿を書くときは、こんな感じに床にべたっと座り込んで、カッターマットを台代わりにして書いています。

ガイド土橋:
机は使わないんですか?

北郷さん:
使いません。机に向かうと、どうしてもアイデアが浮かばないんです。こうして床に座り込んだ方がリラックスして、書くことが出てくるんです。
情報カードの記入スタイル
普段、仕事場でこのように座って、カッターマットを使って書いているという。

このときに使うペンにはすごくこだわっています。私のお気に入りはモンブランのノブレスという万年筆、そしてダンヒルの万年筆です。いづれもボディがスリムで小さな私の手にもしっくりときます。

ペン先はやや太めの中字(M)くらい。これがとても滑らかに書け、まさに筆が進みます。

情報カードに書いたものは最終的にはパソコンで入力をします。そして入力し終わったらその情報カードはどんどん捨ててしまいます。

電話のメモも手帳に書き込んだらやはり捨てていきます。

ガイド土橋:
ノートは使っていますか?

北郷さん:
ノートは一切使っていません。

何かを書くときは先程の情報カード等のメモだけで済ませています。

情報カードは、いわば仮のメモのようなものです。予定であれば手帳に正式に書き込み、原稿であれば、パソコンに入力してしまえば、あとは捨ててしまいます。

そもそも私は家の中で、紙を増やしたくないというのが根底にあります。

家の中はカメラ機材で、すでにいっぱいになってしまっていますので、これ以上紙の書類でいっぱいにしたくないのです。ですから、保存を前提にしたノートは使わず、メモや情報カードに書いて、終わればどんどんと処分していくということに徹しています。

ガイド土橋:
とは言いましても、打ち合わせの時など何かを書きとめるためにノートが必要だと思うのですが?

北郷さん:
私の打ち合わせはほとんどが撮影のためですので、必要な機材を手帳に書き留めるということだけで済んでしまいます。

そして何より、私のすべての活動は最終的に写真という形に残ります。その写真に残ってさえいればいいと私は考えています。つまり、文字に残す必要はないということですね。

ガイド土橋:
なるほど、これもまたカメラマンさんならではのスタイルですね。