いろいろなお仕事の方に文具をどのように使い、仕事に活かされているかをインタビューさせていただく「隣の文具活用術」。
これまでは、どちらかというと文具店や文具メーカーといった業界の方々が中心でした。そこで今回は、これまでご紹介していない職業の方にご登場いただきます。しかも、シリーズ初となる女性。
シルク・ドゥ・ソレイユでダンサーとして活躍された谷よう子さん。 |
「シルク・ドゥ・ソレイユ」のこと、そしてダンサーというお仕事の中で、文具がどのように活用されているのか、皆さんもとても興味深いのではないでしょうか。
そうしたことをたっぷりとお伺いしてきました。
ガイド:
まず、とても初心者的な質問で恐縮なのですが、「シルク・ドゥ・ソレイユ」について教えていただけますでしょうか。
谷さん:
「シルク・ドゥ・ソレイユ」はもともとカナダ モントリオールでスタートしたサーカスです。
ただ、これまでのサーカスと大きく違うのは、動物が全く登場せず、すべて人間が演じるという点です。「シルク・ドゥ・ソレイユ」では、これまで色々なものが公演されていますが、それらすべてには必ずひとつのストーリーがあるという点も大きな特徴ですね。
サーカスではありますが、世界中のトップアスリートが出演している点もユニークなところだと思います。例えば、オリンピックのメダリストも数多く参加しています。サーカスという範疇にとどまらず、「アート」と「アスリート」が融合した総合芸術と言ったほうが当たってるかもしれません。
ガイド:
その中で谷さんはどのような立場で参加されていたのですか。
谷さん:
私はダンサーとして参加していました。「シルク・ドゥ・ソレイユ」では、日本人としては初めてのダンサーでした。
ガイド:
そもそも「シルク・ドゥ・ソレイユ」に入ることになったきっかけは?
谷さん:
もともと私は9歳から20歳までは日本でバレエをやっていました。高校生からすでに「東京シティーバレエ団」に所属していました。
8歳からバレエをはじめていたという。 |
その後、ドイツに拠点を移し、劇場に所属してバレエだけでなく幅広いダンスの活動していました。そんな中ある公演でベルリンに行った時、仲間からちょうど「シルク・ドゥ・ソレイユ」のオーディションがあると聞かされ、ぜひ受けてみたらとアドバイスされました。その頃、私は「シルク・ドゥ・ソレイユ」のことを全く知りませんでした。
アドバイスしてくれた人によれば、世界のトップクラスだけで行われるものだと聞いて、興味を持ち受けてみることにしたんです。
ガイド:
「シルク・ドゥ・ソレイユ」に入るのは相当な難関なんですよね。
谷さん:
そうですね。私が受けたベルリンでは、200人が応募して最後に残れるのはたった4人だけ。私は幸運にもその4人に残ることができました。後で聞いたのですが、こうしたオーディションはベルリンだけでなく世界100ヶ所で行われているそうです。つまり2万名もの人達が応募しているということなんです。
そのオーディションに受かっても、すぐに舞台に上がれる訳ではありません。
まずは、「バンク」と呼ばれる「シルク・ドゥ・ソレイユ」専用の人材登録のようなところに名前が登録されるだけなんです。
ここで自分が指名されるのを待つことになります。長い人だと、5年くらい待ち続けているという人も少なくありません。
私は2年後、「Delirium(デレリウム)」のダンサーとして指名されたんです。
しかもソロダンサーとして、採用されました。
シルク・ドゥ・ソレイユ Delirium(デレリウム)でのステージ。 |
その中では、ストーリに合わせて即興で踊って表現するという役柄を与えていただきました。大変難しく、しかしながらとってもやりがいのある役でした。
多忙を極めていたというシルク・ドゥ・ソレイユ時代。 |
相当な倍率を勝ち残ってこられたんですね。ところでその「Delirium(デレリウム)」は日本でも公演されたんですか?
谷さん:
アメリカとカナダツアーだけで、残念ながら日本では公演されませんでした。
ガイド:
現在、谷さんはどのような活動をされているのですか?
谷さん:
東京ディズニーランドで行われているシルク・ドゥ・ソレイユの「ZED(ゼッド)」でアシスタント アーティスティック ディレクターそしてアシスタント コレオグラファー(振り付け師)を昨年まで担当していました。
また、個人として日本で公演活動、そして今では私のライフワークにもなっているのですが、「ミツヴァテクニック」のワークショップも行っています。
ガイド:
「ミツヴァテクニック」?それは何ですか?
谷さん:
ヘブライ語で「自分のした良い行いが、自分に返ってくる」という意味がありまして、悪習慣による身体のゆがみを姿勢を正すことで直していくエクササイズです。
私はこれまでのダンサー生活の中で、体を酷使してきましたので、必要に迫られて始めたものです。現在、ドイツ、日本で特別講習会として不定的に行っています。
ガイド:
ダンサー、ディレクター、ワークショップ等幅広くご活躍ですね。