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能率手帳がロングセラーな訳(2ページ目)

来年で60周年を迎える「能率手帳」。これまで多くの経営者をはじめビジネスパーソンに愛用され、今やビジネス手帳の代名詞的存在です。今回はその「能率手帳」の生産現場を取材してきました。

土橋 正

執筆者:土橋 正

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では、いよいよ手帳製造の各工程をご紹介しよう。

1.オフセット印刷

人の背丈よりも大きなオフセット印刷機まず、特抄きのオリジナルの紙が到着したら、そこに印刷を行う。オフセット印刷という今では、主流となっている方式だ。大きな紙がどんどん機械の中に飲み込まれ、次々と手帳のスケジュール面が印刷されていく。
空気を送り込んで紙の重なりを防いでいる。

先程も触れたが、手帳の紙は大変薄いので紙の送り込みには特に精度が求められる。間違って2枚一緒に送られてしまわないようにしなくてはならない。そのために紙の送り込みの手前では横から空気を吹き込んでいる。これにより紙が束にならないようにしているのだ。
印刷が終わった紙。畳2畳分はあろうかという大きさ。


2.大裁ち

印刷が仕上がった紙の四隅には「トンボ」と呼ばれる十字マークがある。印刷された大きな紙の四隅には、「トンボ」と言われる十字のマークがある。この線に合わせて紙をカットするのを大裁ちという。この「トンボ」の線の幅はわずか0.2mm。その0.2mmの線のど真ん中を正確にカットしていく。ここで少しでもずれると、この後の製本の際に罫線がずれたりといったことになってしまう。
一度に500~600枚といった枚数を切る。1週間に1回くらいの割合で研ぎ、当然刃はだんだんと短くなっていくので、3年ぐらいしかもたない。
なるほどカットされたものを見ると、0.2mmの線の真ん中でちゃんと切られているのがわかる。その証拠に断面に線のあとを示す色がついている。
こうした0.2mmという精度が能率手帳のクオリティの高さを生み出している。カットされた角の断面にはうっすらと色が付いている。これこそ、トンボの線のど真ん中を切った証。


3.折り

次は「折り」という行程。これはすべて機械で行われる。手帳では、「巻き折り」と言われる同じ方向にどんどん折り込まれていく手法がとられている。本などの場合は縦と横の両方を折っていく「直角折り」が行われている。手帳ではなぜ「巻き折り」なのかは、同じ方向だけに折っていく方が横の罫線のずれがでにくいという理由からなのだそうだ。
綺麗に折り込まれた紙が機械で次々にこしらえられていく。


4.丁合

ページ順に束が重ねあわされていく。この時に見せていただいたのは1枚の紙の中に16ページ分の紙面が印刷されているものだった。1冊の手帳を作り上げるには、こうした束をページ順に重ね合わせていかなくてはならない。この作業を「丁合」という。1~16ページ分の折り、17~32ページの折りといった具合に順々に重ねられていく。

ちなみに一つの折りが縦長になっているのは2冊分の手帳があるため。新寿堂が開発したこの2冊まとめて製本していくという方法は今では多くの手帳工場でも採用されている。
丁合の機械から出てきたものが一冊分の束。


オフセット印刷
オフセット印刷
オフセット印刷されたもの
トンボ
大裁
大ち
折り
丁合
丁合
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