前回に引き続きドイツで開催されたペーパーワールド レポートの続編をお届けします。
まだまだあるドイツの老舗筆記具ブランド「DIPLOMAT」
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ロゴマークを刷新し、生まれ変わったディプロマット |
1922年にドイツで創業した筆記具メーカー、DIPLOMAT。このメーカー名は私も以前から多少は知っていた。それまで私が抱いていたイメージは、どちらかというとクラシカルなものだった。しかし、今回のブースでは、そんな雰囲気など微塵も感じられないものになっていた。これは、数年前に、「herit」という文具メーカーの傘下に入り、ブランドの刷新が行われたためだ。新しくなったロゴは、インクの雫で型取られた花をモチーフにしている。彼らはこれを「インクフラワー」と呼んでいた。これまでよりもモダンなイメージに生まれ変わっていた。
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左/インクを花びらに見立てた「インクフラワー」 右/流れるようなラインのクリップにもインクのマークがある |
そんなモダンイメージを象徴するモデルとして発表されていたのが、「バランス」というシリーズ。ボディの中央がスリムになった印象的なデザインが特長だ。
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新生DIPLOMATの象徴的なモデル「バランス」 |
この「バランス」には万年筆、ノック式油性ボールペン、そしてキャップ式ローラーボールの3タイプがラインナップ。その中で、万年筆を拝見。キャップを外して筆記体勢をとると、そのユニークなスタイルの割に意外と落ち着いたバランスに気付いた。軽量素材のアルミを使っているせいもあると思う。
そのスリムさに目が奪われてしまうが、ボディを見ていると、普通のペンと違うスタイルになっている。それはキャップとクリップの関係。一般にキャップにクリップがついているものだが、これは、クリップのない反対側がキャップになっている。つまり逆だ。これは、キャップをしなくてもデザインのバランスを保てるためなのだろう。
説明してくれた方によると、キャップは尻軸にかぶせない方がスタイル的にも美しいとか。そうは言ってもキャップをかぶせるのは可能で、その場合は、尻軸の端にある円状の溝にキャップをさしこむ。尻軸とキャップのサイズは違うので、ボディラインには段ができてしまう。
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左/万年筆タイプ。この写真はキャップを尻軸にかぶせていない状態。キャップにクリップが付いていないというユニークなスタイルだ。 右/こちらは油性ボールペン。ボディをツイストするとペン先が出てくる |
このほか、「Carisma(カリズマ)」というストレートラインのシンプルなモデルもあった。
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シンプル&モダンデザインの「カリズマ」 |
こちらは、クリップが付いている根元が丸くくりぬかれている意表をつくデザイン。先ほどの「バランス」そしてこの「カリズマ」など万年筆の多くはステンレス製ペン先が中心、中には14金を使ったものもある。ステンレス製ペン先のものは、ヨーロッパでは概ね120ユーロ(日本円で1万9000円くらい)で販売されているそうだ。日本ではまだ、代理店はないという。
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左/クリップの根本がくり抜かれているユニークなスタイル。これもバネ式クリップと呼ぶのだろうか。 右/細身のボディなので、男性だけでなく、女性の手にも似合いそうだ |
次のページでは、「スイス生まれの手帳」をご紹介。