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「LAMY」社長が語る、モノ造りの真髄(2ページ目)

ドイツの筆記具トップブランド、ラミー。「デザインは様式を表す言語だ」と語るラミーを率いる同社社長 Dr.ラミー氏に、ラミーにとってのデザイン、ペン作りへのこだわりなどをインタビュー。

土橋 正

執筆者:土橋 正

ステーショナリーガイド

どのペンにもラミーらしさがあるのは、中に貫かれている精神が同じだから


ペンをつくる上で、もっとも重視していることはどんなことでしょうか?

Dr.ラミーお互いに協力関係を築いてひとつの製品を作り上げているのです。わが社では3つの大変に重要なセクションを協力させてペン作りをおこなっています。

それはマーケティング・デザイン・技術です。この3つが協力しあってはじめてひとつのものをつくることができるのです。ただ、これは決して簡単なことではありません。

例えば、デザイナーと技術者はまったく違う考えをもっています。デザイナーはどちらかというと芸術的なものを求めますし、技術的な人は現実的なことを考え、またマーケティングの人は、販売するという観点から物事をとらえています。それぞれがまったく違う意見を持っている訳です。そうした色々な意見を全て統合させながら、協力関係を築いてひとつの製品を作り上げているのです。

これは大変に難しい作業です。実はこの時に、経験というものがとても大きな役割を果たします。そうした経験を踏まえて製品が生まれていくのです。これがラミーのやり方です。

また、ラミーでは外部デザイナーを迎えてペンをつくることが多くあります。この時も先ほどのような色々な立場の意見によく耳を傾けながら、協力して行っています。ある会社ではデザイナーにブリーフィングをあまりせずに、デザインを決めてしまうこともあると聞いています。決してそれが悪いこととは思いませんし、結果としてそれでうまく行っている例もあると思います。

しかしながら、わが社の場合はデザイナーと個人的によく知り合って、しかもお互いに友好な関係を築いた上で製品を作り上げているのです。


一般的にペンのデザインはクリップやペンのトップ部分に各ブランドのアイデンティティとして顔を持ってきていることが多いように思いますが、ラミーのクリップやトップはどれも違う顔を持っています。それでいて、ひと目でわかるラミーらしさにあふれています。その秘密は一体何でしょうか?

Dr.ラミー確かに他の競合会社のように同じクリップデザインを使うということはしていません。では、何故ラミーらしさがあるかと言えば、中に貫かれている精神が同じだからなんだと思います。

ラミーのクリップは機能的で、非常にシンプルで、しかも幾何学的なものになっています。高級なタイプですとステンレス無垢材を使ってバネ式を採用するなど非常に革新的なものになっています。

おっしゃるようにクリップはペン先同様、まさにペンの顔なのです。ラミーではクリップのデザインには大変こだわりをもって、しかも時間をかけて作りこんでいます。

最近の例ですと「ステュディオ」というモデルがあります。これにはプロペラ型をしたクリップでしかもバネ式という大変にユニークなものです。はじめにデザイン画が出てきた時は、本当に実現できるものかと我々も大変苦労をしましたが、長い時間をかけて、最終的にはプロペラのようなフォルムでバネ式という当初のアイデアを実現にこぎつけることができました。それほどにクリップに対して深いこだわりを持っているのです。

ラミーのペンは1本1本違うように見えてどれもラミーらしさがあるということをおっしゃっていただきましたが、その言葉はラミーの社長として、とてもうれしく思います。
 

それぞれのラミーのペンには「LAMY」のロゴが記されていますが、その位置がどれも、控えでちょっと目立たないところについているように思うのですが、何か理由はありますか?

Dr.ラミー若い人たちは、トレーナーなどに大きなロゴやマークが入っているものを好む傾向があるので、若者向けのペンである「ラミーサファリ」では大きなロゴにしています。シルバーボディの場合は黒いロゴ、黒いボディにはシルバーにするといったロゴに関するルールがしっかりとあります。また、ラミーのペンの用途として、企業のロゴを印刷してお使いいただくということもあります。その場合は私たちラミーのロゴが目立ちすぎないようにという配慮から全般的に控えめな位置になっているのです。

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