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自分の想いを伝える手紙道具 Vol.2 シーリング&ワックスを愉しむ

映画などでよく見かける手紙の封をするシーリング&ワックス。今回は、初めての方にもすぐ出来るシーリング&ワックスの使い方などをご紹介します。メールでは味わえない独特な作業を愉しんでみてください。

土橋 正

執筆者:土橋 正

ステーショナリーガイド

 

エルバン シーリング&ワックス
 

シーリング&ワックスってご存知ですか?この名前はあまり聞いたことがなくても、映画などで見かけたことはあると思います。手紙を封印するときに色のついたロウを溶かして、真鍮製の刻印でぐにゅうっと押すものです。日本語では、封ろうとも言います。ロウのことをシーリングワックス、刻印するハンコのようなものをシーリングスタンプと言います。今回は欧米で古くから愛され続けているフランス エルバン社のシーリング&ワックスを使って、私が日ごろ行っている使い方やちょっとした工夫などもご披露いたします。

 




シーリング&ワックスの老舗エルバン

エルバン シーリング&ワックス
エルバンはナポレオンの時代から愛用されているシーリングの老舗ブランド
J.エルバンは1670年にパリで創業した老舗シーリング・インクブランド。創業者のJ.エルバン氏がインドで見つけた材料を元に作ったシーリングが大人気となり、またたくまにエルバンのシーリングは欧州で人気を博していきました。同じフランスの香水ブランド シャネルの香水瓶の封は古くからエルバン社のものが使われていると言います。そもそも、エルバンのシーリング&ワックスはルイ14世の時代にフランス王室やスペイン王室などの書簡に使われたのがはじまりだそうです。それがしだいに一般にも普及し、ちょっと改まった時に使うようになり、今でもヨーロッパの多くの人々に愛され続けています。




はじめての方のためのシーリング&ワックス選び

エルバン シーリング&ワックス
シーリングスタンプにはアルファベットや色々な模様のタイプもある。
エルバン シーリング&ワックス
シーリングワックスには芯つきと芯なしがあります。
シーリング&ワックスをはじめるために、まずシーリングスタンプ(刻印)とシーリングワックス(ロウ)を用意します。シーリングスタンプには真鍮製の刻印部分と木製などの取っ手に分かれているものも販売されています。刻印の種類もアルファベットや色々な模様のものなど多数あります。初めは、自分のイニシャルのアルファベットを選んでみるといいと思います。後でご説明しますが、封ろう以外の使い道もあります。

次にシーリングワックス選びです。これまた、たくさんの種類があり、迷ってしまうところです。ワックスは大きく分けて、芯つきと芯なしがあります。芯つきとは、ろうそくのようにワックスの中に紐状の芯が入っているものです。初めての方には、芯ありがおすすめです。後ほど、使い方のところで詳しくご紹介しますが、芯ありのほうが使いやすいです。実際、私も芯ありを愛用してます。また、ワックスには赤や青、金、銀などいろんな色が用意されています。エルバン社には、なんと香りつきというものもあります。ご自分の好きな色を選んでいただければいいでしょう。




道具が揃ったら、いよいよ使ってみましょう

エルバン シーリング&ワックス
道具そろえて準備完了。この時、封筒に糊付けして閉じておくことをお忘れなく。
エルバン シーリング&ワックス
ワックスに火をつけると、ポタポタとワックスが溶けて垂れてきます。
エルバン シーリング&ワックス
刻印部分の大きさまでワックスを垂らして、押してください。
今回は、日ごろ私が使用している芯ありワックスでの使い方をご説明します。シーリングスタンプとシーリングワックス以外に用意するのは、封印すべき封筒、ライター(又はマッチ)、数枚の紙、水を入れたコップです。テーブルに紙を敷き、その上で、ワックスの芯の部分にライターなどで火をつけます。火がつくと結構すぐ、ワックスが溶け出してぽたぽたと垂れてきます。敷いてある紙の上に少し垂らしておきます。ワックスの垂れ具合がちょうど良くなってきたら、用意しておいた封筒の綴じ部分に垂らします。このときに、封筒の綴じ部分以外に垂れないように注意しましょう。綴じ部分にまんべんなく垂らしていきます。一箇所だけ厚くならないように注意してください。垂らしている途中で、ワックスが固まってしまうのではないかと不安になってきますが、大丈夫です。そんなにすぐには固まりません。落ち着いて垂らし続けてください。垂らしたワックスがシーリングスタンプくらいの大きさになったら、ひとまずワックスの火を消しましょう。そして、シーリングスタンプをワックスに押し込みます。グニューという独特な感触があります。この時、すぐにシーリングスタンプをはがさずに、ひと呼吸おいてからはがします。ペタッという音ともに気持ちよくはがれます。ちょっとくらい曲がっていても、垂らしたワックスがだ円状になっていても、それはそれでいい味になっているはずです。
封ろうと言いましても、このシーリング&ワックスだけで封を閉じるのは危険です。ですので、封筒はあらかじめ糊付けなどしておいてください。

さらに、知っておくと便利なこととして、郵便料金の規定で郵便物の厚みが1cmを超えてしまうと、定型郵便から定形外郵便扱いになり料金が増えてしまいます。ですので、あんまり厚めにワックスを垂らすのは要注意です。

なお、水を入れたコップは非常のときようです。火の扱いさえ、気をつければ、決して難しいものではありません。




シーリング&ワックスには、こんな使い方も

エルバン シーリング&ワックス
私はノートの表紙にシーリングしています。
本来、シーリング&ワックスは封筒を封印するものですが、自分のイニシャルのシーリングスタンプであれば、ちょっとしたシール感覚、ハンコ代わりとしても使えます。例えば、私は、自分のノートの表紙にシーリング&ワックスでマークをつけたり、グリーティングカードにつけたりと色々と楽しんでいます。紙の上であれば結構しっかりと定着してくれます。皆さんも封筒以外にいろんな使い方を楽しんでみてください。

 




シーリング&ワックスでゆったりとひと時を愉しむ

便箋に万年筆で想いを文字でつづり、その想い入れがこぼれ出ないようにシーリング&ワックスで封印をする。まるで手紙を書いた時のその場の空気までも封印するかのように。そうした手紙を受け取った人はきっと、その想い入れを感じ取ってくれることでしょう。ここぞの時には、ぜひシーリング&ワックスを使って愉しんでみてください。きっと手紙を出すのが楽しくなりますよ。

エルバン シーリング&ワックス

エルバン社 
■シーリングスタンプ      2,310円~
■シーリングワックス(芯なし) 1,680円~

*エルバン社では、芯つきのシーリングワックスは
国内で現在販売されていません。
今回使用したものは参考商品となります。


<関連リンク>
エルバン オフィシャルサイト
「自分の想いを伝える手紙道具Vol.1 コットンを使ったレターセット」
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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