靴の製法で判断するのも手

ハーフラバー
オールソール交換にすべきか? はてまたこのようにハーフラバー貼り付けにすべきか? 両者は単に費用や時間だけで選ばない方が賢明な気がします。選択のカギになるのは、例えば靴の製法です。


レザーのアウトソールが要・全面修理となった際に、縫い直してオールソール交換を行うか? 或いはハーフラバー貼り付けにするか? もちろん実際には、修理に掛かる費用の高低や時間の長短で選択されてしまうケースが大半なのでしょう。多くの靴修理店で後者の修理がヒール交換とセットメニューになっている点からもお解りの通り、世間一般ではハーフラバー貼り付けで十分と考えられているようです。

それを否定するつもりは全く無いのですが、靴をある程度ご存じの読者の皆さんならば、是非とも別の観点で、もうちょっと突っ込んで比較検討していただきたい! その判断材料の一つになり得るのは、ズバリ靴の製法だと思います。つまり
「アウトソールを縫い直しても、靴全体の形状に変化が起こり難い製法」
ならば、オールソール交換の方がその靴本来の性能を明らかに維持・回復できますし、逆にその形状に変化が起こり易いものならば、一度目の修理はハーフラバー貼り付けの方が無難かも知れないのです。

具体的には、グッドイヤー・ウェルテッド製法で作られた靴のように、底付けの縫い工程がウェルト(細革)を介して二段階(掬い縫いと出し縫い)に分けてアッパーと間接的に繋がるものは、個人的には矢張りオールソール交換をお勧めしたいです。アウトソールの縫い直しは、すなはち「出し縫い」のみを縫い直すだけの工程なので(実際には「だけ」とは申しても非常に難しいものですが……)、この修理を行っても靴の形状に劇的な変化は起こり難いですし、レザーソールのしなやかさと通気性の良さは、半分とは言え下手にラバーを貼ってしまうと味わえなくなってしまう快適さだからです。また「雨用靴にしちゃおうかな?」みたいな場合ならば、いっそのことアウトソールをレザーではなく、潔くラバーソールに全面交換してしまった方が靴の活用性は広がる気もしますので。

一方、マッケイ製法で作られた靴のように、底付けの縫い工程が出し縫いのみの一段階でアッパーに直接繋がるものについては、初めてのソール修理の場合ならば、逆にハーフラバー貼り付けの方が得策かも? たとえ木型を入れて修理を行っていても、アウトソールを縫い直すことが「アッパーを縫い直す」ことに直結し、靴の形状に大きな変化が起こるリスクがどうしても高くなってしまうからです。特にコインローファーのように、この製法でかつライニングも爪先部の芯(先芯)も踵部の芯(月型芯)も付けずに作られた靴の場合は、オールソール交換を行うと履き心地自体も大分変化しがちですし(前回の冒頭でご紹介したもののように大吉となる場合もあれば、大凶に転ずる場合もある)、アッパーを傷めず「全面交換できるチャンス」を少しでも多く残しておく為にも、しなやかさや通気性を多少犠牲にしても、一回目はこちらが現実的かつ理想的な解となるような気がします。


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