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靴に使う「牛革」を深く考えてみる その3B

今回の「メンズシューズ基礎徹底講座」も、引き続き鞣した後の革の加工の種類について。種類は多々あるのですが、今回は中でも一番お馴染みのものと、そのアレンジとも言えなくもないものををご紹介します。

飯野 高広

執筆者:飯野 高広

靴ガイド

「銀付き」ばかりが革ではない!

様々な加工
確かに銀付き革は革の中でも一番の正統派。でも、そればかりでは面白くない! 様々な加工で変化できるからこそ、選ぶ楽しさも大いに増してゆくのです。


靴に用いる牛革の種類を知るシリーズでは、前回は「銀面」をそのまま残し表面とした「銀付き革」についてお話を致しました。銀面は革を構成する部位の中では、最も組織が細かく丈夫で柔軟性も高い場所。つまりこれを表面に用いるとは、牛の年齢や鞣しの方法に関わらず原皮が持つ風合いを最大限に活かす・活かせることに直結するのだとご理解いただければ結構です。使用中に不用意に付いてしまった傷も、お手入れを怠らなければこの革ならば、やがて勲章になる!

中でもボックスカーフは、前回思いっきり寄り道してしまったように実は定義が錯綜している革ではあるものの、ハリと柔らかさとが両立し細かいキメも魅力的。端正で清楚な印象が全面に出るので、これの黒を用いたものは靴であれ鞄であれ、確かに格式のある場に相応しいものです。お手入れによる色の経年変化はそれほど劇的には表れませんが、これを用いた靴は何足あっても損はしません。

ただ、銀付き革は品質の善し悪しのかなりの部分を、原皮自体の品質が決めてしまうものなので、カーフであれステアであれ、素直にそうなれるものはどうしても限られます。ズバリ銀面が平滑で緻密なものほど、希少故に革の価格も高い! そこで様々な加工が用いられる訳で、今回からはその代表例を見て行きたいと思います。原皮の有効活用のみならず、革としてのバリエーションが出せ使い道が広げられる点でも、これらは大変意味のある工夫です。


次のページでは、ある意味一番お馴染みの加工について! 
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