「造形美」に秀でたカントリーブーツ!
foot the coacherの外羽根式プレーントウのシングルベルトブーツです。アッパーやソールは結構「押し」の強いものを用いているのに、何故か凛々しく見えてしまう竹ヶ原マジック全開の作品です。 |
最初にご紹介すべきは、竹ヶ原氏のブランドの中では気持ちモード寄りで、今シーズンのテーマを”Strange and Beautiful”と銘打った「foot the coacher」から登場した、外羽根式プレーントウのシングルベルトブーツからでしょう。くるぶしには軍用品起源のローラーバックルががっちり付き、底面もコマンドソール仕様のダブルソールしかもストームウェルトが配置されるなど、スペック的にはかなりカントリー、いやミリタリーブーツの要素が濃い作品です。でも、この種の多くの靴に露呈しがちな「乱暴さ」を、このブーツからは不思議と感じないのです。
その理由は、各パーツが細かい所にまで相当凝った造形で仕立てられているからに違いありません。例えばそのローラーバックルですが、機能だけを考えれば平凡なもので充分であるにもかかわらず、留め金の反対側に古典的な彫刻を美しく施すことで、アッパーやソールから滲みがちな「アク」を溶かす役割を、きっちり果たしています。靴の鼻筋と申せる鳩目周りについても、縫い目線をいわゆる「スワンネック」状態にするだけでなく、その形状を19世紀のドレスブーツで暫し見られたリズミカルなものとすることで、表情に凛々しさと清潔感を与えている点も見逃せません。
都会での使用に差し支えが無いよう、内くるぶし側にはジッパーが供えられているので、「ブーツは脱ぎ履きが面倒で……」と敬遠がちな方でも気楽に履けるかと思います。そのジッパーも靴のデザインを遮るようなものでは決してなく、むしろそのアクセントとして絶妙な存在感を示しているのが、いかにも彼の靴らしいところ。個人的にはブラウンはツイードやコーデュロイのジャケットと敢えてタイドアップで、ブラックはローゲージの黒かグレーのコマンドセーター(流行とはちょっと違うかもしれないけれど……)とホワイトデニムで一緒に合せてみたい!
【foot the coacher/シングルベルトブーツ】
■色 : ブラウン(金具はソリッドブラス)、ブラック(金具は黒メッキ)
■アッパー素材 : ブラウンはショルダー型押しレザーとキップのコンビ。ブラックはキップ
■底付け製法 : グッドイヤー・ウェルテッド
■ソール素材 : コマンドソール
■サイズ : 25.0~28.0 1/2サイズ刻み。
■価格 : いずれも一足\90,300(税込み)
ローラーバックルの部分をアップで撮ってみました。留め金の反対側にある小さな彫刻一つで、靴全体の表情がガラッと変わるのです。ストラップの丁寧なダブルステッチにも注目! |
このブーツの鳩目周りです。奔放な形状のスワンネックは19世紀のドレスブーツで暫し見られたもの。ジッパーの存在感も絶妙で、これが無いとむしろ全体のデザインが引き締まらなくなるほどです。 |
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