生地だけじゃない。革にもあったぞヴィンテージ!
この度のパターンメード受注会のために特別に用意された、今は亡き旧西ドイツのタンナー、カール・ロッシュのヴィンテージベビーカーフです。この素材感、写真で正確にお伝えできず誠に残念! |
「ヴィンテージファブリック」なる言葉、スーツの誂えに興味のある読者の方なら恐らく耳にされたことがあるでしょう。主に1980年代以前に織られた、現行品ではなかなかお目に掛かれないハリとコシのある目の詰まった服地に、ここ数年、スーツ好きの熱い視線が注がれています。「昔のドーメルのトニックの鉄紺無地で仕立てたい!」位なら、実はまだ話は可愛いい方で、「エドウィン・ウッドハウスの6plyのチャコール無地はもう見つからないのか?」とか「某デパートさんよ、フォックスのフラノよりカネボウのカレッジフラノの『青味のある紺』を復刻させてくれ!」挙句の果てに「バーリントンのポリエステル混ウールのホップサックが……」などと嘆くようになると、もう完全に泥沼状態の非常に奥深い世界です(因みに上記のカッコ付き発言は、恥ずかしながら全て小生自身のものです)。
その時に存在する革を使い切るのが当然の靴の世界では、このような発想はありえない、はずでした。ところが、さすがは老舗・銀座ヨシノヤの調達力!驚くべきデッドストックレザーがこのイベントでは登場します。それが上の写真、1983年に惜しくも閉鎖された旧西ドイツの最強タンナー、カール・ロッシュ(Carl LOESCH、現地表記だとOEはOウムラウト)のベビーボックスカーフです。操業時には今や伝説となったカール・フロイデンベルグのものさえ遥かに凌駕する品質を誇った、幻のタンナーの革です。
そうです、生後6ヶ月以内の牛革にしか通常「カーフ」の名称を用いない生真面目なこの店が、「これぞAクラス」と太鼓判を押す正真正銘のベビーボックスカーフが、この受注会では選択可能になります。さすがに最も一般的な黒は既に存在せず、今回ご用意できるのは茶系のもの6色に限られてしまうのですが、見ただけで格の違いを思い知らされる清楚な光沢にまず驚かされ、黒がないことなどどうでもよくなります。さらに実際に手にとると、腰があるのに柔らかくキメも細かい感触に、少なくとも四半世紀より以前に作られた革がよくぞここまで劣化せず無傷で残ってくれましたと感動すること必至です。靴として立体的に釣り込まれると、何気ないけど凄まじく存在感のある作品に仕上がるのが容易に想像できてしまいますから、革質を最大限活かすべくできるだけ装飾の少ないデザインでオーダーしてあげたい!
この革以外では、職人さんの間では既に「現行品ではダントツで世界一」との声が高いチェコ国境に近い街にあるドイツの老舗タンナー、ルートヴィッヒ・ペリンガー(Ludwig PERLINGER)のボックスカーフがなんとも魅力的! こちらもツヤあり・ツヤ消し共に素晴らしいの一言に尽きます。靴好きにはお馴染みのアノネイやデュプイのフレンチレザー、C.F.ステッドのスエード、それに独特の透明感を誇る日本の新喜皮革のコードヴァンももちろん用意されています。これだけ揃えば琴線に触れる革が必ず見つかるはずですから、店内でどうか楽しく迷われてください。
かかと周り以外に継ぎ目のない内羽根式ホールカットプレーントウです。革質を最大限堪能したいのでしたら、オーダーすべきモデルは絶対コレ! 税込み価格\126,000~ 銀座ヨシノヤ |
こちらもかかと周り以外に継ぎ目のない、ホールカットシングルモンクストラップです。ストラップを通すベルトループを舌革に組み込んだのが特徴です。税込み価格\136,500~ 銀座ヨシノヤ |
次のページでは、縁の下の力持ち、底材のチョイスについて。