素材と技術に裏打ちされた、美しい一足!
「マークブラドック」レーベルの内羽根式キャップトウです。基本に忠実で丁寧に作られた靴は、やはり表情が立体的。ここぞと言う時に履いてください。 |
最後にご紹介するのは、「マークブラドック(Mark Bladog)」レーベルの内羽根式キャップトウです。こちらは磨き甲斐のありそうなフランス・アノネイ社のカーフを用いて、正真正銘のグッドイヤーウェルテッド製法で作られた、文字通り「黒光り」という表現が相応しい一足。鑿状のチゼルトウシェイプも奇をてらったものではなく、落ち着いた雰囲気を演出しています。
竪琴状にくり抜いたような通称「アデレイドスタイル」の鳩目周りとトウキャップの縫製は、「内縫い」と呼ばれる仕様になっています。これ、メンズのドレスシューズではここ数年ちょっとしたブームになっており、「レベルソ」とかなんとかと仰る方もいますが、要はエルメスのレディスのハンドバッグに用いられるものと同じ縫い方、と申しあげた方がお解りいただけるかもしれませんね。縫い目に糸が露出しないので、通常よりやや高いヒールと共に、この靴の凛々しい表情をいっそう引き立たせています。
デザインそのものは斯様にイギリス靴的印象が極めて強いのですが、設計思想では「靴の後ろ半分のフィット」を特に重視しており、この点はむしろアメリカのドレスシューズに近い考えです。具体的には、甲周りは日本のJIS規格で言うEEウィズ相当と一般的にとった一方、踵周りについてはEウィズ相当と狭目に設定し、靴の中で足が無指向的にフラ付くのを防止しています。また、踵周り内部に取り付けられる「月型芯」と呼ばれる芯材も通常のものよりも明らかに長く、それこそ土踏まずに届きそうなものを用いることで、アーチサポート的な効果を高めています。その長さと「踵が食い付かれる」感触は、是非ともお店でご確認あれ!
この種の靴が活躍することの多い冠婚葬祭の場面では、長時間ずーっと立っていなくてはいけないことがしばしあるものです。そんな時、この靴のように後ろ半分が足にしっかり食い付いてくれるものを履くと、そうでないものに比べ疲れが出にくくなること必至ですよ。なお、2008年秋にはこのモデルに加えて、ややショートノーズでラウンドトウの作品群が新たに加わる予定で、今後のさらなる展開に期待したいところです。
【Mark Bladog/内羽根式キャップトウ】
■色・素材 : 黒(フランス・アノネイ社製スムースカーフ)のみ
■サイズ : 6 1/2~9 0.5サイズ刻み
■価格 : \57,750(税込み)
■販売店舗 : 梅田阪急
鳩目周りを拡大して撮ってみました。「内縫い」にすると縫い目が視覚的にスッキリして、清楚な印象が強調されるのがお解りいただけるでしょう。 |
いかがでしたでしょうか? どの靴も見た目のカッコよさだけでなく、履き手の側にたった「使いやすさ」を徹底的に考え、さまざまな工夫を凝らして作られているのがお解りいただけたかと思います。「プロデューサー」と言う以上に「一ユーザー」としての視点が徹底している長嶋さんの発想力が全開の作品、お好きな分野からトライされてみて下さい。
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■株式会社 マークブラドック
Tel: 03-3400-0850