男の靴・スニーカー/ドレスシューズ

新作登場! KENT SHOP AOYAMAの靴(5ページ目)

KENT SHOP AOYAMAのカスタムメイド靴に、レッドソールや快適性により重点を置いた木型など選択肢が増えました。今年はVAN創業から60年。トレンドとして片付けてはいけない、アメトラの本質にも迫ります!

飯野 高広

執筆者:飯野 高広

靴ガイド

守り続け我慢することの大切さ

60周年記念ジャンパー
VAN創立60周年を記念するドリズラースタイルのジャンパーです。春先のちょっと風の強い日のカジュアルシーンにもってこい! 色:ネイビー・白 サイズ:M・L・LL 価格\33,600(税込み)。2008年4月に追加入荷の予定。ケント ショップ 青山


さて、KENT SHOP AOYAMAのメインブランドであるVANは、2008年で60周年を迎えることになりました。その歴史はIVYムーブメントを日本中に広めた1960年代に絶頂期を迎えた一方で、1978年には当時としては破格の負債を抱え倒産の憂き目にもあった波瀾万丈のものですが、これだけ長い間親しまれているのみならず、特にメンズファション界においてその精神が今日も影響を与え続けている日本の服飾ブランドは、他に類を見ません。

長寿の秘訣は、やはり1960年以降の路線であるIVY・アメリカントラッドを守り通し、多少の振れ幅はあっても決定的な浮気をしてこなかったことに尽きるのだと思います。変化に即座に対応することを良しとする昨今ですが、そうすることが万能であるとは限りません。世の中の最新の動きを察知しつつ、思いとどまるべきは思いとどまる「我慢」の姿勢を、今日の我々は喪失しかかっていますが、武士道にも通じるその「我慢」こそアメトラの真の本質、そしてその姿勢こそ実は、かつてVANを通じて日本でアメトラが広く受け入れられ今日でも一定の影響力を持つ真の理由でしょう。アイテムの「モジュール性」や、かつてあまりに支配的だった「ねばならない的理論」は、あくまでそれに付随するものでしかありません。

これが見えてきだすと、2007年頃からのアメトラ再評価気運に対しては、嬉しいことではありながら多少違和感を覚えざるを得なくなってしまうのも、残念ながら事実です。日本の大方の売る側は、薄情にもそれをトレンドとしか見なしていないせいか、上述の「守り通す」「一歩控えて我慢する」の姿勢が、彼らの今日的なアメトラ調の提案からはほとんど見当たらないからです。むしろそれとは真逆の、毒々しくも曖昧な「おれがおれが!」的な主張しか、それらからは感じることができません。流行を闇雲に追っているだけの、そんな深慮無き、言語性を喪失した装いが、彼らにとっての「エレガンス」なのでしょうか? ここ十数年間紳士服のメインストリームだったクラシコイタリア的な装いから、彼らはそういうことしか学べなかったのでしょうか?

「お前ら一回アメトラ裏切ってクラシコに行っちまったんだろ。なのに詫び状もなしにヘラヘラとまたこっちに帰ってきた挙句に『懐かしい』って、一体どういうことだい? こっちはちっとも『懐かしく』なんかなくて、ずーっと現代進行形なんだ。そういう今まで必死に守り抜いた人たちの辛抱を、少しは考えたことがあるのかい?」

口には決して出さないけれど、心の底では彼らについ、そんな悪態も付きたくなる気分でいるのが、1990年代以降もトラッド的な装いを懐古趣味的にではなく、「ライフスタイル」として貫き続けている方々の、偽らざる本音でしょう。なので、セレクト系では最近アメリカントラッドレーベルの新規開店が続いているのだけど、新規顧客以上にその成否の重要な鍵を握る、そんな以前の上顧客だった彼らを再び振り向かせるのは、結構難しいぞ! 彼らはこのKENT SHOP AOYAMAのような専門店やビスポーク、さらには通販にも国の内外を問わず精通してしまい、「あの頃」に比べ審美眼が遥かに厳しく鍛えられているからです。ユーロ高なんか気にするな、価格が跳ね上がっても買う奴は買う、クラシコやるならやり通せ!

幸いなことに今日のVANやその兄貴分のKENTは、その種の浮ついた薄情さからは離れることができた存在です。いつも同じ位置に立って今を、そして未来を見つめてくれる安心。こんな若々しくも落ち着いた感覚を持てるブランドって、今や本当に貴重ですよ。60年と言えば人間に例えると還暦ですが、そう、あの有名なモットーの通り、永遠に現役で輝き続けてほしいです。For the young and the young-at-heart!


【店データ】
■ケント ショップ 青山 (KENT SHOP AOYAMA)
所在地:〒107-0062 東京都港区南青山3-8-39 西野ビル3F
TEL:03-3403-6962  FAX:03-3403-6927
営業時間:平日11:00~20:00 土日祝日11:00~19:30 年中無休
交通:東京メトロ外苑前駅1a出口より徒歩3分
または表参道駅A4出口より徒歩5分
地図:Yahoo!地図情報
ホームページ:KENT SHOP AOYAMA

【関連リンク】
以前取材させて頂いた時の記事は、こちら!
60周年記念ジャンパー・裏面
60周年を記念ジャンパーの裏面です。前後両面に、今までのキャンペーンのモットーが書かれたワッペンが貼られています。色:ネイビー・白 サイズ:M・L・LL 価格\33,600(税込み)。2008年4月に追加入荷の予定。ケント ショップ 青山

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