履き込んだら、積極的に「攻める」作戦!
使い込んでちょっと輝きがなくなりだしたコードヴァンの靴には、この2つがお勧め。左:ウォーリー ワックスカラークラッシック \1,260 R&D。右:コロニル ゴールドプレミアム \2,100 エス・アイザックス商会。 |
コードヴァンの靴は履きこんでゆくと、スムースレザーとは一味異なる経年変化を起こし、ちょっと熟成の進んだバーボンウィスキーのような、枯れた重厚感が出てまいります。ただ輝きと透明感では、新品の頃に比べどうしても劣ってしまいがち。ということで使い込んでからのケアは、この重厚感を大切にしながら素材が本来持つ特性を復活させる、「攻める」姿勢をとりたい! そんな状況でお奨めしたい代表例が、上の写真にある2つの乳化性靴クリームです。
ウォーリー ワックスカラークラッシックは、前回ならびに今回ご紹介する靴クリームの中では唯一の「色付き」のもの。ウォーリーの他の靴クリームも補色効果が結構強い傾向がありますが、これは補色以上に透明感のある光沢が復活してしまう、ちょっと面白いクリームです。色調がだいぶ枯れ、擦りキズも目立つようになってしまったコードヴァンには、正に最適な治療薬、やや押しこむような感じで靴に成分を入れてゆくのが使い方のコツです。
日本では「コードヴァン専用」と銘打って販売されていますが、通常の牛革・スムースレザーにも何ら問題なく使用可能で、同様にちょっと枯れかかった靴に使うと効果的です。今のところわが国では黒とボルドーの2色しか売られていませんが、せっかくの素晴らしい靴クリームだから少なくともあと一色、普通の茶色を入れてほしい! R&Dさんヨロシクです!!
一方コロニル ゴールドプレミアムは、恐らく光沢の出方に関しては、日本で現在売られている乳化性靴クリームの中では断トツに輝く存在でしょう。さすがに「塗るだけで光る」とまで簡単ではありませんが、コードヴァンに限らず特別なテクニックを要することなく、アッパーの表面を寝かせ均質にならした上で光沢を出してくれる大変優れた商品です。これは履いていた時にあいにく雨降りに遭い、水滴の跡で表面が凸凹になってしまったコードヴァンの靴には、まるで点滴のような存在。手順を踏んで用いれば、それはほとんど目立たなくなりますよ。個人的にもこの靴クリームに何度もピンチを助けてもらっていて、その眩いばかりの照り具合に「価格のことだけはある!」といつも感心します。
最後のページは、「コードヴァンだけど、実はそれほど光らせたくない……」という、哲学的欲求をお持ちの方へ!