別注ブームの引き金役になったローファー

オールデンのローファー
ちょっと価格は張りますが今日のローファー好きが一度は必ず憧れる、オールデンのローファーです。製法はグッドイヤー・ウェルテッドながら、アッパーのコードヴァンの質感も相まって、アメリカのローファーらしいユルい履き心地は健在です。


バスのウィージュンに代わって、日本では1980年代ごろから急速に靴好きの心を捉えだし、未だにその勢いが衰えていないローファーが、このオールデンの作品です。前のページのコインローファーに比べ、幾分どっしりとしたシルエットになっていることにお気づきの方も多いでしょう。それもそのはず、製法がより頑丈なグッドイヤー・ウェルテッドに変化しているからです。

このモデルのアッパーには、一般的なカーフのスムースレザーのものやスエードのものももちろんあるのですが、やはり真骨頂は素材自体が眩い光沢を放つコードヴァンのもの。ライニングが付き(付かないものもあります)つま先にもごく薄い芯が入るものの、踵にはそれがないアメリカのローファーらしい素朴な作りと、コードヴァンのやや粘り気のある素材感が相まって、履いていると何とも形容しがたい寛容さに包まれます。そう、かつてのアメ車のソファーと似たような感覚。

またこのコードヴァンローファーは、オールデンが通常製造しているオリジナル品だけでなく、著名なセレクトショップが独自に若干アレンジした「別注品」が日本国内で多く出回っていることでも知られた存在です。木型違い、サドルにある切れ込みの形状違い、さらにはコバの幅違いなどその内容は様々。アメリカントラッドの雄・ブルックスブラザーズが、昔からここにライニング無しのものを特別に作ってもらっているのを、今日セレクトショップと呼ばれる商売形態がその創成期に見習ったのがきっかけだと思われますが、靴に限らず今でこそ我が国で当たり前になった「ショップ別注品」の先駆け的存在なのです。


サイズ選びには注意しましょう

紐靴とローファーの違い
紐靴とスリッポンの靴としての違いは、単に紐のあるなしだけではありません。踝周りを覆う「トップライン」の形状も全く異なり、スリッポンは極めて直線的です。


これはローファーに限らずスリッポン全体に言えることなのですが、レースアップやモンクストラップとは形状のみならず「履かせ方」が明らかに異なることを、是非とも忘れないで下さい。踝周りを覆う「トップライン」の形状も他の靴と全く異なり直線的なのも、上の写真をご覧いただければお解りでしょう。何度も申しますが、自身の形状だけで足を覆う靴ですので、フィット感の微調整など無理な話。

よって合う・合わないの感覚差が、他の靴よりも見事なほど如実に出てまいります。「スリッポンだと他の靴に比べ、少し小さいサイズの方が快適に履けてしまう」とか「スリッポンでは『ちょうどいい』と思える靴が、全く見付けられない」と嘆かれる方が少ながらずいらっしゃるのも、別に不思議なことではありません。室内では靴を脱ぐ習慣が昔からある日本では、脱ぎ履きのしやすい靴として年齢を問わず人気の高いスリッポンですが、「踵が抜けないか?」「トップラインが横に広がり過ぎて脱げそうにならないか?」など、選ぶ際はサイズ標記に惑わされず、他の靴以上にフィット感を慎重にチェックして下さいね(「フィット」の目安については、別の機会に改めて記事にいたしますので、ご期待下さい)。

そうそう、小生以前スリッポンで実験をしたことがあるんですよ。ある年の年初にちょっと決心して、丸々1年間この種の靴を全く履かないで過ごしたのです。翌年の新年早々、漸く解禁して一番フィットすると思われたものを履き丸一日過ごしたのですが、その結果は…… 翌日、下腿部と臀部に見事に痛みが走りました(ああ情けない)! 他の靴とスリッポンとでは履く時に動かす筋肉も微妙に異なることを、我が身をもって文字通り痛感した次第。

えっ、肝心のローファー自体の話はどこに行ったんだって?? おお、すっかり忘れていました。まだまだ奥深い世界が待っているのですが、続きは次回のお楽しみ!



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