使えない革もあるので、それだけ注意!
サドルソープって欧米では昔から使われている、読んで字のごとく本来は馬の鞍の汚れを落とす石鹸。牛革でできた靴などにも使えます。 |
サドルソープはもともと、読んで字のごとく馬の鞍に付いた汚れを落とすための「石鹸」で、欧米では昔から広く使われていたものです。手順のところでも書きましたが、革を洗う成分だけでなく乳化性靴クリームと似た成分が含まれているためか、イギリスで誂え靴を作る職人の中には、業務用のこれを牛乳の中に入れ煮立てたものを固まらせ、乳化性靴クリームの代わりに用いている人が未だにいるのだそうです。
スムースカーフ・スコッチグレインレザー・シュリンクレザー・オイルドレザー・ガラスレザーなど、牛革のアッパーで出来た大抵の靴ならば、前頁の方法で汚れをキレイサッパリ落とすことが可能です。若干色落ちする場合もあるので、前頁6:の「乳化性靴クリームによるケア」では、無色ではなくその靴に近い色のもので行うのが良いでしょう。特に雨が降った後の靴に起こりやすい「塩吹き」現象には、これを用いての洗浄が一番効果的! ユーズドの靴を手にいれた時にまずはこれで汚れ落とし、なんて言うのもなかなか有用な使い方です。
ただし、中にはこのサドルソープを苦手としている革もありますのでご注意願います。具体的には
- 起毛系の革:サドルソープが細かい起毛面にこびりついてしまう可能性があります。これは次回、別の方法をご伝授します。
- 牛革でも水性染料で染め上げられた繊細な革:出来ないことはないですが、特に薄い色のものだと水ジミが起きてしまうこともあります。
- エナメル:独特の光沢が失われてしまうので、使わないほうが無難です。
- キャンバス地と革とのコンビシューズ:革の染料の色がキャンバス地に色移りしてしまう危険があります。
- コードヴァン:こちらも独特の光沢が失われがちなので、使わないほうが無難です。
- 爬虫類系の革:クロコダイルなど。これも良品は水性染料で仕上げているためです。
と言うことで、次回は今回の続編。「起毛系の革」をどう洗うか?について解説致しますので、乞うご期待!
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