品の良さではピカイチのブーツ
フィレンツェに本拠を構えるデュカルのハンティングブーツ。ハンティングとは言っても、オイルドコートではなくカシミアのジャケットが似合いそうな気品が漂ってきます。 |
最後にご紹介するのは、1937年にイタリア北中部・フィレンツェで創業したデュカル(Ducal)のブーツです。実はこの春夏にワールド フットウェア ギャラリーに置かれていた、ここのサマーシューズが大変素晴らしい出来で、個人的に秋冬も期待していました。が、それを遥かに上回る作品をリリースしてくれたので、今回ご紹介できる喜びもひとしおです。
創業当初から地元の貴族やフィレンツェを訪れた上流階級を上顧客に持っていたためか、はてまた日本の京都にも喩えられるフィレンツェの土地柄なのか、デュカルの靴は清楚で上品な印象が全面に出るのが大きな特徴! ラテン系の靴ブランドにともすれば散見される「毒々しさ」を、微塵も感じさせてくれないのです。この靴も今季のテーマである”SPORT”に沿って、かつてのハンティング用ブーツをモチーフにしたものですが、前述のディ・メッラの靴と同様アッパーをソフトなカーフ(スムースレザー)とスエードの茶系コンビとし、さらに全体的に細く見える木型を採用したことで、この種の靴にありがちなハードなイメージから解放し、優しく洗練されたものに変化させることに見事に成功しています。
通常は「上に被さる」形になるトウキャップを、逆に一段下げたデザインパターンで縫製することで、つま先をスッキリ見せようとするところなど、まさに「そこまでしなくても……」といった小技です。また草木をモチーフにしたメダリオンを、つま先ではなく敢えて脚部に施したあたりは、今季のトレンドである「側面でのアクセント」をサラッと取り入れているわけで、この辺りの美意識の高さが何ともニクイ!これらの詳細は、次ページの写真をご覧ください。
ハンティングブーツというと、本来はBarbourなどのオイルドジャケットやローデンクロスのコートとのアウトドア的なスタイリングを考えてしまいがちですが、このブーツとはむしろ
「キャメルブラウンのピュアカシミアジャケット」+
「こげ茶のタートルネックセーター」+
「ナチュラルホワイトのジーンズ」
のような、カジュアルで何気ないけど計算され尽くした、今やファッションの世界では忘れ去られてしまった「清潔感」のある装いを改めて心掛けたい気がします。
【デュカル/ハンティングブーツ】
■色・素材 : 茶カーフ(スムースレザー)*キャメルブラウン(スエード)のコンビ
■サイズ : 39~42 ハーフサイズ刻み
■価格 : \84,000(税込み)
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