1971年に創業した、アメリカのシューズ・ブランド「ロックポート」。このブランドが語られるときは、とかくその機能面にスポットが当たりがちだ。創業10年あまりでシューズメーカーとしては初めてAPMA(アメリカ足病学医師協会)の認定を受けたし、また、副社長トニーポスト(90年当時)が自社のビジネスシューズを履いてフルマラソンを完走したなんて逸話まで残っているくらいだから、確かにその技術は卓越しており、当然といえば当然だ。
今コレクションでも“タッチポイントテクノロジー”と名づけられた新機能を開発、搭載したコレクションを発表し、技術力の高さを改めて証明してみせた。これは、ミッドソールにある無数の円錐ラバーが歩行時の足への圧力を分散し、優れたクッション性を提供してくれるというものだ(写真)。しかし、それは十分認知された事実であり、ことさら騒ぎ立てるほどではない。取り上げたのは、“トレンド”の観点から見て、ワクワクさせる何かが生まれてきたからだ。
ガツンとやられてしまったのが、コレ。何とも素朴で懐かしくて、幼少の記憶を辿れば、確かにオヤジが履いていた、あの靴。それもそのはず、このニューモデルは創設者であるカッツ親子が一台のバンに積み込んで売り歩いたという、その当時のモデルの復刻なのだ。アッパーのモカ・ステッチといい、厚みのあるクレープソールといい、絶妙なバランス。フットベッドにはラテックスを採用するなど、もちろん機能的には進化させている。(価格/1万9800円)
そうなのだ。ロックポートは完成されたギヤの上に、時代性を加味しようとしている。ツーリングシューズをモチーフにしたこの新作もその一つ。スニーカー世代に向けた、次に履く靴として提案されたそれは、スエード×メッシュのアッパーが何とも80年代風。これに薄めのソールを組み合わせることでスタイリッシュな仕上がりになった。(価格/1万1000円)
もう一つ、ファッション面に力を入れたことで面白くなってきたのがレディスだ。ナチュラルな風合いのトングとサンダル。ほどほどのトレンド感で1万円台前半とくれば、デイリーユースにもってこい。ありがちなシメだけど、う~む、これからのロックポートは目が離せない。とかいいつつ、今度の展示会、お邪魔する時間があるかどうか定かじゃないんですが…。(価格/右=1万1000円、左=1万1800円)
問い合わせ先/ロックポートジャパンカスタマーサービスtel.03-3205-6866
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