愛着もって履くなら「オールデン」。
*価格などのデータは最終ページに。
大人が履けるカジュアルシューズというのは“ありそでない”カテゴリーだ。なぜなら最も儲かるティーン・マーケットを狙うことがつくり手の定石になっているからだ。30代男にとってそこらへんの靴の、ちょっと気恥ずかしいテイストもさることながら、シーズン・トレンドでころころスタイルが変わってしまうサイクルに合わせる元気もなければ、懐具合も許さない。そうかといって郊外店あたりに転がっていそうなワケのわからないブランド名が入っている靴を履いちゃうほど、ファッションに無頓着になっているわけでもない。
そんな僕らが履く靴は何か。現代のつくり手たちがアサッテの方向を向いてるなら、答えはもちろんクラシック。とはいえひがみ根性でノスタルジーに浸ろうというのではない。時代を超えて履かれ続けているのはそれなりの理由があるわけで、もちろん貴方は選びに選んで愛着をもって履いてる風を装い、思慮深い大人の男を演出すればいい。さすればイバリ度は相当高い。
で、休日靴の最右翼を挙げるならオールデン。アイビーリーガーにこよなく愛されたその靴は、ほどほどのカジュアル感がジャケパンにもジーパンにも合う仕上がり。
オールデンといえば馬の尻の皮を鞣したコードバンというがっちりした革が有名で、もちろん定番の1足を選ぶならその革を使った“Vチップ”にしてください。だけど、すでにオールデンは数足もっていて、なんてファンなら、写真手前のグリーンの靴が良いです。この靴、いわゆるドレスシューズに多用されるカーフという仔牛の革を使ったものなんだけど、ごっつい底周りとのバランスが意外にいい。もちろんカーフは繊維が密でしなやかで、足あたりは抜群。履き心地が気になる僕らにとっても申し分のない1足です。
では最後に、ウンチク語るときに欠かせないオールデン人気の秘密。それは1884年の創業以来、足にハンディキャップを抱える人々のためのオーダーを受けてきたからなのです。足と靴の関係をトコトン研究した末の履き心地の良さもさることながら、工場のラインにはのらない、メーカーの言葉でいえば規格外になるであろう靴を一生懸命つくり、街の靴屋として根付いたからなのである。