ちょっと専門的な話になるけど、革は元々平面だ。立体に成型するには、足の形をした木型にかぶせ、その形を革に覚え込ませなければならない。じゃ、どうしたら木型を使わないで靴が作れるのか。曽田さんは、革を細かく裁断し、それをつなぎ合わせることで実現してしまった。何がすごいって、それは靴のルーツと言われるモカシンに通じる製法なのだ。で、「苦労して作り上げた靴が過去にあったりすると、昔の人がこのスタイルを生み出した理由に気付き、感慨深いですね」なんてさらっと語ってしまう。
曽田さんは、元々、マニュアル世代にはとっても珍しい思考の持ち主。高校を卒業すると、アルバイトをしながら、小麦を栽培し、パンを作った。食器や服、身の回りのモノは何でも自分で作ってきた。そんな中で唯一納得できなかった靴にはまり、仕事にしてしまった。余談だけど、生活スタイルもいい。毎朝6時には起床し、朝食を済ませると、夕方の5時まで自宅の工房で靴作り。ひとっ風呂浴びると、夕食後にはベランダで爪を切ったりしてボーッと過ごし、9時には床に就く。まるで仙人のような、そんな生活をずっと続けてきた(呑み助の僕には想像のつかない世界です)。
●個展タイトル/靴などの個展●会期/3月15~24日●時間/12:00~19:00●場所/カロカロハウス(渋谷区神宮前6-4-2、TEL.03-3406-9461)