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独自の世界観をもつ若手靴職人 曽田耕さんが個展を開催

若手靴職人、曽田耕さんの個展が3月、原宿で行われる。癒しの時代にぴったりの、素朴なその靴は、実は密かにブームです。

執筆者:竹川 圭


曽田さんの靴はいい。何がいいって、一切テライがないところ。その靴は、純粋に素朴そのもの。靴を作るには、木型という、革を成型するための大本の型が必要だけど、曽田さんは当初、その木型を使わなかった。「昔は木型なんてなかったはず。そういうところから一つひとつ納得して、作りたい」。

ちょっと専門的な話になるけど、革は元々平面だ。立体に成型するには、足の形をした木型にかぶせ、その形を革に覚え込ませなければならない。じゃ、どうしたら木型を使わないで靴が作れるのか。曽田さんは、革を細かく裁断し、それをつなぎ合わせることで実現してしまった。何がすごいって、それは靴のルーツと言われるモカシンに通じる製法なのだ。で、「苦労して作り上げた靴が過去にあったりすると、昔の人がこのスタイルを生み出した理由に気付き、感慨深いですね」なんてさらっと語ってしまう。

曽田さんは、元々、マニュアル世代にはとっても珍しい思考の持ち主。高校を卒業すると、アルバイトをしながら、小麦を栽培し、パンを作った。食器や服、身の回りのモノは何でも自分で作ってきた。そんな中で唯一納得できなかった靴にはまり、仕事にしてしまった。余談だけど、生活スタイルもいい。毎朝6時には起床し、朝食を済ませると、夕方の5時まで自宅の工房で靴作り。ひとっ風呂浴びると、夕食後にはベランダで爪を切ったりしてボーッと過ごし、9時には床に就く。まるで仙人のような、そんな生活をずっと続けてきた(呑み助の僕には想像のつかない世界です)。

「KO」のブランド名で展開するその靴は、7年目を迎え、木型も用い始め、コレクションの幅はぐっと広がった。と言っても、考え、悩み、納得してたどり着いた靴。あくまで曽田さんらしさが生きています。ちなみに価格帯は2万円前後。手作り靴としてはとっても安い。そんな曽田さんの個展が3月15日から原宿のカロカロハウスで行われる。少しでも靴に興味のある人なら、絶対行って損のない個展。何より、その人柄に接すれば、誰だっていっぺんに好きになってしまうこと間違いなし。

●個展タイトル/靴などの個展●会期/3月15~24日●時間/12:00~19:00●場所/カロカロハウス(渋谷区神宮前6-4-2、TEL.03-3406-9461)
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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