「ホールマークス」は、お客の足に合わせて木型から削るフルオーダーに限りなく近いパターンオーダー・ブランドだ。普通、サイズというと足長を思い浮かべるが、「ホールマークス」ではこれに足の付け根部分とかかと回りで8種類のサイズ・バリエーションをもたせた。足長サイズは23~28センチの5ミリ刻みで11種類。そして、左右別々のオーダーが可能だから-。
11×8×2=176通り
というサイズ展開数を実現したのである。これに加えて、デザイン、素材、底回り、縫製などの仕様変更まできくので、トータルでは一体何種類の靴ができあがるのか、想像もつかない。
「ビスポークが軌道に乗ってくると、既製靴とビスポークの中間に位置する靴がないことに物足りなさを感じました」
着実にファンを増やしつつある手製靴工房ギルドの代表、山口千尋さんは言う。どうせやるならとこだわった結果が176通りのサイズ展開となったわけだ。そして、ビスポークとそん色ないパーソナル・フィッティングを実現しつつ、パターン(革裁断に必要な設計図のようなもの)や材料を兼用することで、ビスポーク・ラインの3分の1に近い10万円台の価格設定を可能にした。
見逃してならないのは、あくまでその靴は手製靴であるということ。トレーディングポスト銀座店の保坂浩太さんが「ホールマークス」に対する熱い思いを語ってくれた。
「何がすごいって、手でつくられることによる完成度の高さですね。このウエストの絞り、ラインの美しさは、機械では不可能です。また、ソール底面の左右均一のラウンド形状、横から見たときの安定感は、やはり機械では難しく、なおかつ機能としてみたときも必要なものです」
「ビスポークの片足単位の設計思想を応用したい」というコンセプトの元、行き着いたのが「ホールマークス」だ。“品質保証”を意味するHallmarkをブランド名にもってきたのもうなずける。ちょっとだけ、手製靴が身近になった。
◎トレーディングポスト銀座店=中央区銀座3-4-17三徳ビル1F ?03-3567-3739
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