アルフレッド・バニスターのチーフデザイナー、高原啓さんが新事業部「ROEN」を5月、立ち上げた。8月には事務所を構えるビルの地下に同名ショップをオープンさせた。
「ROEN(ロエン)」とは、狼煙(のろし)の訓読み。ノロシはかつて、情報の重要な伝達手段だった。そこには、一切の妥協がないモノ作りを着実に伝えていきたい、という思いが込められている。トレンドにとらわれたくないというコレクションは、ますます高原さんらしいアバンギャルドな雰囲気が際立った。
-「ROEN」はどんなブランドですか?
「メンズ、レディスのシューズ、雑貨、洋服をトータルに提案するブランドです。このブランドは、一切の妥協のないモノ作りを目指しています。例えばレディスの中底にも練りコルクを敷き詰めました。ドレスシューズに見られる技法ですが、足なじみが良くなるんです。底付けは返りのいいマッケイ製法を採用。ヒールはトレンド発想ではなく、歩くのに最適な形状という視点で作った。本来、デザインは機能から生まれてくるものだと思っています。僕は走れるヒールを目標にしています(笑い)。そんな世界をトータルに表現してみたかったんです」。
-今はどんなお店に置いているんですか?
「地下のショップの他に、国内のセレクトショップ10数軒とロスで何軒か置いてもらっています。妥協なくこだわっている分、このブランドは価格もそれなりです。そうそう理解してもらえるとは思わない。だから、売り先を国内に限定するつもりはない」。
-ショップは夜になるとバーになるとか。
「ええ。顔なじみ限定の週に2日だけのバーですが、金曜は僕が、木曜は俳優の浅野忠信君のお母さんがバーテンをやります。9時オープンで、閉店時間はバーテンが酔いつぶれるまでです(笑い)。
今、やりたいことが一杯あるんです。実は、昔から映画が撮りたかった。靴を始めたのも、小道具としての位置付けだった。すでに撮りためていて、11月のショーではお見せすることができると思います」。
●ROEN(ショップ)=渋谷区恵比寿西1-15-10第六横芝ビルB1F ・03-5784-2413
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