たぶんもっとも重厚かつ作りのいいダービーのフルブローグです。アッパーのボックスカーフも上質ですが、さすがアウトソールは評判どおりいいですね。 |
とにかく重い、デカい、うるさいの三拍子揃ったパーフェクトな靴です(笑)。しかも作りが素晴らしいんですね~。
まさにダービー好きを満足させてくれる靴です。靴ガイドの飯野さんも同じ靴を持っていたと思います(苦笑)。
トリッカーズの「カントリー」も無骨な作りでけっこう好きなんですが、正直感動するものでもない。ところがこのフルブローグは職人技が凝縮していて、ジェイエムウエストンの底力を見た気がしますね。
分厚いトリプルソールの上にウェルトがピラミッドのように段になっていて、ようやくアッパーにたどり着くといった感じ。
作りはごついが、アッパーがボックスカーフだったり高級感はたっぷりあります。
“うるさい”と言ったのはヒールの一部にスティールが埋め込まれていて、アスファルトの上を歩く度にカチカチと鳴り響くわけです。
デザインから見ても本当は土の上を歩くカントリー靴なんでしょう。だから文句は言えないんですけど、それにしてもうるさい(笑)。
ミッシェル・ペリーのラインとは対照的なモデルですが、フィット感は意外に繊細なんです。重いのは凄く重いんですけどね。 |
音も困ったものですが、このスティールがよく滑るんです。とくに大理石風の百貨店の床や階段はかなり危険です。
つま先のスティールは滑っても転倒することはまずないんですが、ヒールにスティールは転倒する可能性大。まさに鬼ヒールです(笑)。そんな理由から近所を5回ほど散歩しただけで、鑑賞用になっています。
オリジナルデザインはそのまま大切にしたいところですが、ヒールのトップリフト(接地面)を交換してもらうと安心して履けるかなと思います。
履き心地はとうぜんソールが分厚いので返りは重いですが、意外にもフィット感があり足入れ感は素晴らしいです。さすがウエストンですね!
現在このモデルは日本での取り扱いはなかったはず。スペシャルオーダーで購入できたと思います。
さて、今回はお気に入りのダービーを紹介しましたが、ダービーのブローグ系の靴ってあまり見かけないので寂しいですよね。ビジネススーツに合わせにくいので人気がないのでしょう。
ダービーといえば1980年にリーガルが100周年記念モデルのウイングチップを限定で100足販売したことがありました。
アッパーにカールフロイデンベルグのカーフを使った贅沢なモデルでした。写真でしか見たことがないんですが、もう一度復刻してほしいですね。