ユニオン・ロイヤルの靴工場に行ってきました!
工場内は約30人の職人が働き、一日あたり約200足を生産する。都心から離れているせいもあり、この工場で技術を習得した生え抜きの職人がほとんど。自分たちが凄く高いレベルの技術力を備えていることを知らないのでは(笑)。 |
同社は1952年に東京の葛飾区で創業し、現在は千葉県に靴工場を構えている。
昔から「マッケイのユニオン」と呼ばれるほど、マッケイ製法を得意とする工場で、1960年にはイタリアのマレリー社と技術提携をして、現在でも製造を続けている。
じつはマレリーの靴を作る前から、創業者がイタリアに渡って、マッケイ製法の技術を習得し、専用の機械を導入していたそうだ。
日本で最初に本格的なイタリアンマッケイ製法の靴を製造したのはユニオン・ロイヤルなのである。
上がグッドイヤー・ウェルテッド製法。白いT字状のものがリブ。このリブによって、どうしても歩行時のソールの返りが悪くなる。下はハンドソーン・ウェルテッド製法の中底。リブを立てないかわりにこのような段差のある溝を作る必要がある。オリジナルブランド「ユニオンインペリアル」はハンドソーン・ウェルテッド製法によって作られている。 |
工場の入っている建物は最近、移転し新築したため、工場内部はとても綺麗で、整理整頓されていた。
現在一部の生産ラインはユニオンロイヤル資本の中国の協力工場で行っているが、要となる生産工程や高級既製靴はこちらの工場で生産しているという。やはり生産の中心はマッケイ製法の靴である。
マッケイ製法の靴はグッドイヤー・ウェルテッド製法(以下グッドイヤー)の靴とは違う構造なので、軽量で、足に馴染みやすくソールの返りも優れている。
また、中物(コルク)を薄く入れているのでグッドイヤーのように経年による足の沈み込みも少ないのだ。
こだわりの仕上げ方法
工場を見学中に職人さんが仕上げの工程を見せてくれました。一足一足手作業で染料を塗っていく本当に面倒な作業。しかも素早く塗らないといけないので、熟練した技術が必要です。 |
工場見学で驚いたのが独自の仕上げ方法だ。
完成した靴に独自の染料を塗布するのだが、まずアルコールで一度拭き、しばらくしてから染料をいっきに塗っていく。もちろん機械ではなく、職人の手作業である。
見せてもらったのはブラウン色に仕上げたもので、濃淡があるアンティーク風の仕上げだ。
もともと上質の革を使っているということもあり、染色後はグッと高級感と風合いが増した感じだ。
イタリアではこういった仕上げを施すことが多いそうだが、日本の靴メーカーはほとんど行わない染色方法なのである。
左が塗布前で、右がブラウン色の染料を塗った後。こんなに雰囲気が変わりました。 |
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