文章 : 佐藤 明男(All About「男のヘアケア」前ガイド)
毛髪再生医療は、すべての薄毛さんに光を与えてくれる治療法です |
目覚しく進歩する、再生医療
ヒトの細胞から、皮膚や角膜、さまざまな臓器を作り出す「再生医療」の技術進歩は目覚しいものがあります。そもそも、人間の臓器や器官のもとは、卵子と精子が受精してできた1つの細胞(受精卵)で、どのような性質の細胞にもなれる“万能の細胞”と言えるもの。この万能の細胞があれば、どんな臓器も作り出すことができます。■細胞の基本形「幹細胞」を研究せよ!
ただし、現在の科学では、受精卵が持つ遺伝子を自分のものと入れ替えるのは容易ではありません。そこで考えられたのが、自分の体細胞から最終分化する前の幹細胞を取り出して培養し、増やすという「組織再生医療」です。
最終分化した細胞(=完成形)ではなく、その前段階である幹細胞を使うことで、様々な組織を作り出すことが可能です。幹細胞は「細胞に対する基本形」なので、どの臓器にも存在し、自分とまったく同じ性質の細胞を生み出すことができます。
この考えに基づいて毛髪を再生させるのが「毛髪再生医療」です。
■毛髪のもととなる細胞を増やして移植
毛髪再生医療のひとつ「毛包細胞移植法」<参考>佐藤明男(著)2007年『医療的育毛革命』講談社 |
毛髪のもととなる細胞は、毛包下部にある毛乳頭部分の「パピラ細胞」と、毛包の皮脂腺付着部のバルジ領域にある「表皮幹細胞」です。この2つの細胞を培養し増やして皮膚に移植すれば、毛包が誘導され、毛が生えるということが理論的には可能なのです。