中古車/中古車の選び方

中古車選び、成功と失敗(2ページ目)

中古車を選ぶ場合、割り切る点とこだわる点があります。今回は恥をしのんでカーセンサー編集長でもあるガイド馬弓が体感した成功と失敗をご紹介します。

執筆者:馬弓 良輔

基本はやっぱり実車チェック

95年型メルセデスベンツE320T。必ず実車チェックはしましょう
それでは、みなさんお待ちかねの失敗編です。自分では失敗したとは思っていないのですが、他人に言わせると「ソレハ失敗デハナイデスカ?」となるクルマのお話です。

昨年安さにつられて買った95年型メルセデスベンツE320T。旧旧型Eクラスワゴン、いわゆるS124の最終型。当時カーセンサーに異動になったばかりで「ベンツに乗らずしてクルマを語るなかれ」と先人に言われ個人売買で入手しました。10万キロ目前の個体だったのですが、「最終型だし大丈夫だろう」と思っていたら、それはそれは壊れました。まず陸運局で名義変更した20分後に点火コイルが壊れ、2気筒死亡。調べてみたら電気系上部ハーネスもボロボロ、エンジンのオイルシールからはオイルがボタボタ、ついてきたAMGレプリカの17インチホイールは1本歪んでいるし、ダンパーも抜け気味。マフラーは錆だらけで今にも崩れそう。

もちろん買う前にチェックや試乗はしたものの、チェックが甘かったのです。純正ホイールでなかった段階で疑うべきでした。言い訳するなら外観とか内装はキレイだったし、最終型だし、譲ってくれた人も善良そうな方だったので、目が曇ったのかもしれません。中古車選びの基本である実車チェックを怠ってはいけません。

愛着だけでクルマを購入できますか?

人生の貴重な時間をクルマに捧げることができるか?それが購入時に問われます
「消耗品さえ交換すれば昔のベンツはいつまでも乗ることができる」とは都市伝説のようにクルマ好きの間で語られている話。シトロエンを持って以来、クルマに手をかけるのは嫌いじゃないし、むしろ壊れなかったエグザンティアなんかは「過剰整備」していたくらい。そんな僕でさえ、ベンツさんは「消耗品」の範囲がずいぶん広いのぉ、と嫌みのひとつも言いたくなりました。電気系ハーネスが10年でイカれるか?ただ、ベンツの場合124くらいまでなら部品を格安で輸入してくれる業者が複数あります。腕のいい(かつ適正な料金の)修理工場さえ知っていれば、少しずつ直してオリジナルの味を取り戻すという、中古車ライフの王道の楽しみを存分に味わえるクルマです。いろいろ直したうちの124は確かにシャキっとしました(30万円くらいかかりましたが……)。

ここからが今回の本題です。僕が個人売買で手に入れたS124は、定評ある専門店がきっちり手を入れて売っている低走行車(と言っても5万キロ以上が主流)を買うより50万円くらい安かったのです。実車チェックを怠った最大の言い訳です。走行距離が伸びていることの不安は徹底した整備と部品交換で乗り越えました。むしろ新品の部品が入った分、「良質な中古車」より割安で「良質車」になったと思います。でもそれは安価な部品供給ルートを開拓したこと、良心的で腕のいい工場を知っていたこと、そして人生の貴重な時間の一部をそういった行為に割り振る情熱(もしくはヒマ?)があったからこそ可能になったとも言えます。124の部品交換&整備を、誰もが簡単に頼める場所、つまりディーラーで行ったら多分、倍の値段になっていたでしょう。

だから、人によっては失敗になってしまいます。つまり、安い理由を知りながら中古車を購入するということは、それなりの気概がいるということです。あなたは人生の貴重な時間をクルマの整備時間に充てることができますか?「はい」と言う方は、失敗しないでしょう。「いいえ」という方は、まず実車チェックをしましょう。後々になって捧げる時間と金額を考えれば、購入時に時間をかけることはなんら損はありません。むしろ、かなりの必要なことでしょう。

でも、買った後に苦労すると愛着湧きますよ!最後まで言い訳くさいけど……。
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