中古車

ビッグモーター事件で痛感…「悪質な中古車販売店」を避けるために「金額」より注目すべきポイント

中古車販売大手の「ビッグモーター」の不祥事で改めて思うのは、「中古車選びはお店選び」だということです。では、どうやってお店を探すのか。中古車情報誌に30年近く携わっている筆者が、“信頼できる”販売店の見極め方を解説します。

籠島 康弘

執筆者:籠島 康弘

中古車ガイド

中古車販売店大手「ビッグモーター」の不祥事が大きなニュースになっています。おかげで中古車販売店にネガティブな印象を抱く人が増えそうですが、中古車情報誌に30年近く携わっている筆者としては、やっぱり「中古車選びはお店選び」だと改めて思いました。この言葉、筆者が編集部に入る前からずっと言われ続けている金言です。
安心して中古車を購入するために意識したいことは……

安心して中古車を購入するために意識したいことは……

 

中古車販売店に不信感を抱きやすい理由

そもそも、中古車販売店に不信感を抱きやすい理由のひとつに「不透明な中古車価格」があると思います。

「メーカー希望小売価格」のある新車と違い、中古車は一物一価です。同じ車種・年式・走行距離・装備の中古車でも、販売店によって価格が異なることもよくあります。なぜなら、中古車の場合は、中古車販売店が需要と供給のバランスを見て値を付けるからです。例えばこの車は人気があるから多少高くても買ってくれる人がいるだろうとか、逆にこれはもう少し安くしないと売れないなとか。

そう、中古車販売業の値付けはフリマアプリの出品と似ているのです。ただ、フリマアプリに並ぶ品物と違い、例えばホンダN-BOX(現行型)だけで全国に1万台以上もあるなど、同じ商品名でも“出品数”の桁が大きく違います。つまり競合がたくさんいるのです。

さらに出品者が元々持っていた商材ではなく、販売店は商売するために仕入れた車を売ります。そこに経費と利益を乗せて販売しなければなりません。ですから、フリマアプリとは比べものにならないほど値付けはシビアです。
 

中古車価格は販売店が決める部分が多い

そこに追い打ちをかけるように、新車も中古車も、家電などと違い「車両本体価格」だけでなく、「諸費用」が必要になります。この諸費用の額も一律ではありません。

車の購入には自動車税や自動車重量税といった「法定費用」が発生します。また車に乗るために必要な登録代行費用や整備費用、車庫証明代行費用など、販売店に代行してもらう「代行活動費用」も支払わなければなりません。この「法定費用」と「代行活動費用」が諸費用です。

「法定費用」は車の年式や排気量、車検残の有無などによって金額が異なります。さらに「代行活動費用」は販売店によって設定している金額が異なります。そのため中古車の場合、車両本体価格ではA車よりB車が安いのに、諸費用を含んだ支払総額になるとB車のほうが高くなる、なんてことがよくあります。

しかしようやく、この「わかりにくさ」の原因のひとつだった「諸費用」問題が解消されそうです。2023年10月1日から車両本体価格と諸費用を含む「支払総額」の表示が義務づけられるからです。これにより、消費者は最初から「支払総額」だけで比較して中古車を選べるようになります。

また、販売店によってばらばらだった諸費用の内容も、自動車公正取引協議会(公取協)により、これは車両本体価格に含めろ、これは支払総額とは別にして消費者に必要かどうか確認しろ、など細かく定められています。つまり販売店は、見た目(車両本体価格)を下げておいて消費者を引きつけ、内容のよくわからない諸費用で儲ける、ということができなくなります。

ただし、経費と利益をどれだけ乗せるかといった値付けや、この代行費用はこれくらい必要だという考え方は、相変わらず販売店によって異なります。

このように、中古車の価格は販売店が決める部分が多いのです。だからこそ「中古車選びはお店選び」というわけです。
 

「信頼できる販売店」を見つけるために

そもそも、中古車販売を含め、商売で最も大切なのは「信用」です。中古車販売の場合なら、買い手から「この車は不当に高いんじゃないか」「事故車なんじゃないか」などと疑われていては売れません。

今回のビッグモーターの件は、そんな商売の基本を踏みにじった悪質な例ですが、当然それとは違い、まっとうな商売をしている中古車販売店も多いのです。

そんな「信頼できる販売店」を見つけるためには、「複数店に行って見積もりをもらい、比較検討する」ことをおすすめします。実はこれも、昔から中古車情報誌で言われ続けていることです。

まず欲しい中古車を2~3台見つけます。次に、それぞれに見積もりを依頼するのですが、その際は必ず販売店へ直接行って説明を受けましょう。

すると、特に諸費用の「代行活動費用」は販売店によって金額だけでなく、項目にも違いがあったりします。

こうした項目の中には、特に車を初めて買う人にとっては、項目名を見ただけでその内容が理解できないものもあるはずです(例えば「納車費用」とは別に「納車準備費用」があるとか)。そこは、一つひとつ内容を確認するようにしてください。

また、ネット上の写真だけで車のコンディションを見極めるのは、プロでも至難の業です。実際に見てみると、例えば色あせの具合や、細かい線、キズなど写真では気づけないことがあるはずです。このとき心がけたいのは、それらを修理しろとか、その分値引きしろというのではなく、「このコンディションでこの値段を付けるお店なのだ」ということです。

こうした情報や、販売店の説明を聞いた上で、「ここなら信頼できそうだ」と思える販売店を選ぶ、というのが「中古車選びは販売店選び」ということです。比較するのは「金額」ではなく、販売店の「信頼度」なのです。

「販売店の対応を見ただけで信頼度なんかわかるものか」と思う人もいるでしょうが、販売店を“比較”することで、少なくとも項目や金額などの設定に対する考え方の“違い”がわかるはずです。

さらに比較することで、どの販売店の考え方が一番自分にとってしっくり来るかもわかるはずです。日本にはいろんな中古車販売店があります。複数店舗を回ることは、自分にとってベストな販売店に出会うチャンスを広げることと同じです。

また、これも昔からわれわれ中古車情報誌で言っていることですが、もしもしっくりくる販売店が見つからなかったら購入自体を見送ってください。中古車は一物一価であると同時に、一期一会。その車とは縁がなかったのだと考えるようにしましょう。

「中古車選びはお店選び」。そのためにも現車や見積書の比較検討は大切。これさえすれば悪質な販売店による魔の手を逃れることができる、とは断言しませんが、鼻が利くようになることは確かだと思います。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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