カーメンテナンス/車のトラブル

重大事故に直結! フロアマットにご用心!!(2ページ目)

普段、何気なく使っているフロアマットが、あるとき重大事故の原因に! そんなことにならないために日頃から気を付けるべきポイントと、もしも実際に起こってしまったらどう対処すべきか、を紹介します。

執筆者:宮島 小次郎

いざというときは、シフトをニュートラルにしてブレーキを!

シフト操作
もし、実際にアクセルが戻らないという事態に遭遇してしまったら、まずはシフトをN(ニュートラル)にすること
例のアメリカでの事故の際、異変に気付いたドライバーは当然ブレーキを踏んだそうですが、ブレーキが効かずに暴走を抑えることができなかったと聞きます。まず、その理由についてですが、現代のクルマはエンジンが発生する負圧を利用して、ブレーキを踏む力を増幅させるバキュームブースターという装置を採用しています。

実はこの負圧というのは、基本的にはアクセルを抜いたときほど強く発生し、アクセルを全開にした状態では全く発生しません(大気圧と同じ状態ということ)。詳しい説明はここでは省きますが、そのように考えていただけると分かりやすいと思います。通常、ブレーキを踏むときは、アクセルから足を離しているわけですから、ブースターのアシストが働きブレーキもしっかり効くのです。

ところが、アクセルを全開にしていると、ブースターによるアシストはほとんどなくなり、ブレーキペダルは石を踏んでいるかのように硬くなります。実はこの状態でも、ブレーキの効き自体は変わらないのですが、アシストがないためにいつもと同じくらいの制動力を発揮させるためには、相当な踏力が必要となります。ちなみにブースターの付いていないレーシングカーは、いつもこの重さです。

ただ、とっさのときのこんな状態になってしまったら、通常であればブレーキが効かなくなったと感じるはずです。しかも、アクセルは全開のままですから、いつも以上に強くブレーキを踏まなければクルマを止めることはおろか、減速させることすらできません。では、もしこんな事態に遭遇してしまったら、どうすればいいのでしょうか。

まず最初にやるべきは、ATのシフトレバーをD(ドライブ)からN(ニュートラル)に切り替え、エンジンからの駆動力をカットすることです。マニュアル車なら、クラッチを切ってギアを抜けばいいでしょう。これでとりあえずは、それ以上加速することは抑えられます。

エンジンを切ってしまう方法も考えられますが、エンジンを切るとブレーキだけでなく、ステアリングのパワーアシストまで効かなくなりますので、状況によっては余計パニックに陥ることも考えられます。また、最近のプッシュスタート式のモデルの場合は、走行中はスイッチをちょっと押しただけではエンジンが切れないようになっていますから、エンジンが切れずにやはり動揺してしまうかもしれません。

そこで、エンジンは掛けたまま、ギアをNへシフトし、あとは思い切りブレーキペダルを踏みつけて、クルマを減速させるというのが、私が考える最善の方法です。ただし、とっさのときにギュッと握りしめたステアリングから手を離し、冷静にギアをシフトできるのか? こればかりは実際にそのときの状況になってみないと分かりませんが、相当意識していないとできない操作だということは間違いありません。

ブレーキを踏んでもグングン加速する中、もし前方に他のクルマや障害物が迫ってきたら……。そんなことが起こらないようにするための最善の対応策は、何よりもまずしっかりと自分の足元を確認することです。



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